大相撲九州場所14日目は、熱海富士との2敗同士の直接対決を大関・霧島が制した。千秋楽に先輩大関の貴景勝に勝てば4場所ぶり2回目の優勝となる。また、14日目に熱海富士を破ったことで、初の年間最多勝のタイトルを手にすることも決まった。
そうした霧島の活躍でますます混沌としそうなのが、来年の春場所後に65歳の定年を迎える師匠・陸奥親方(元大関・霧島)の後継者問題である。ある若手親方が言う。
「陸奥部屋には3人の部屋付き親方がいる。浦風親方(元前頭・敷島)、鶴竜親方(元横綱・鶴竜)、立田山親方(元前頭・薩洲洋)の3人。ただ、鶴竜親方はまだ年寄名跡を取得しておらず、立田山親方は定年後の再雇用組です。
陸奥親方は再雇用を希望しているので、そうなると部屋を継ぐ親方は『陸奥』と交換できる年寄株を持っていないといけない。現時点での有資格者は浦風親方のみ。来年春までに鶴竜親方が年寄名跡を取得して『陸奥』と交換して、横綱経験者として部屋を継げるのが理想に思えるが、今のところその目途は立っていない」
しかも、陸奥親方から見ると、鶴竜親方は弟弟子である井筒親方(元関脇・逆鉾)の死去に伴って引き受けた力士。ここにきて、陸奥親方が自身の現役時代の四股名を譲るほど寵愛するのが今場所の優勝を目前とした霧島であり、当然ながら将来的な部屋の継承者の有力候補にもなってくるというから話は複雑だ。若手親方が続ける。
「難しいのは、霧島が同じモンゴル出身の兄弟子にあたる鶴竜親方を慕っているというところでしょう。霧島が大関どまりなら、鶴竜親方を追い出すようなかたちで部屋の継承者になることも考えにくかった。しかし、霧島が横綱に昇進するとなれば状況が一変するのではないか。浦風親方が部屋を継ぎ、霧島の引退までワンポイント登板となると可能性も出てきた」