大関・霧島の4場所ぶり2度目となる優勝で幕と閉じた大相撲九州場所。優勝争いは千秋楽までもつれたが、優勝の可能性を残していた平幕・熱海富士が大関候補の琴ノ若に敗れたことで、結びの一番を迎える前に決着がついた。千秋楽は優勝力士が決まってからも様々な見どころがあるのだが、そのことは意外に知られていない。
霧島は結びの一番で先輩大関の貴景勝との一番を制し、13勝2敗で大関昇進後の初の優勝を決めた。若手親方が言う。
「14日目の熱海富士との2敗対決では立ち合いで変化することなく、もろ差しから土俵際まで追い込み、万全の寄り切りで勝った。千秋楽も立ち合いで当たったあと、左手で突いて右からいなして貴景勝を突き落としで破った。先場所は、優勝した貴景勝が11勝4敗という低レベルの成績だったうえに、優勝決定戦の熱海富士との一番で変化相撲になったことが批判されたが、その2つのポイントを霧島はクリアしての優勝だった。これでは協会も認めざるをえない。霧島は堂々と来場所に綱取りに挑むことになるだろう」
今場所の霧島は優勝とともに、年間62勝を挙げての年間最多勝にも輝いた。九州場所が始まる前の時点では51勝の大栄翔に2つの差をつけられていたところ、逆転での年間最多勝奪取となった。
「年間最多勝」は1年を通じて活躍した力士が獲得する名誉あるタイトルだ。しかし、その表彰は九州場所での表彰式の最後から2番目。そのため、観客もまばらになっているなかでの表彰になるのである。