機密費を出されてもその場で返してきた田原氏。その理由は「貰ったら借りになるから」(写真/共同通信社)

機密費を出されてもその場で返してきた田原氏。その理由は「貰ったら借りになるから」(写真/共同通信社)

 自宅に着いて菓子の下にあったいくつもの包みを開けると、全部札束。官房長官は使い切れなかった機密費を持たせたのだ。

「総理は本当に持たされたのが札束とは知らなかったが、結局、金庫には戻されなかった」

 かつて本誌にそのエピソードを明かした関係者はそう打ち明けた。

 選挙の“実弾”も機密費の有力な使い途だ。自民党選対のベテランスタッフが明かした。

「総理が応援に行くのは負けられない接戦の選挙区だ。そうした重点選挙区の候補には党本部からテコ入れのために1000万円単位の資金が追加されるが、総理も別口で機密費から陣中見舞いを渡す。自分の派閥の候補には金額も多くなる。機密費だから、受け取った候補が政治資金収支報告書に記載できないカネです」

 首相から陣中見舞いを受け取ったことがある議員に金額を聞くと、「小さいほうの5本(500万円)」と指を立てた。

戦前よりも酷い

 なぜ、こうなったのか。それは、現在の機密費にその使途を管理、検証する仕組みがないからだ。

 戦前はあった。歴史学者の小山俊樹・帝京大学教授の論考「近代日本の謀略と機密費の関係」(『中央公論』、2022年1月号)によると、伊藤博文・首相は機密費を「其管理の責全く主務大臣に属する」ものと位置づけ、陸海軍に会計検査院を経ないかわりに部内での管理を徹底するよう指示したという。日露戦争期に定められた「機密費取扱規程」には、帳簿の完備や10年間の保存が明記されていたと指摘している。

 現在のような裏金ではなかったのだ。

 官房機密費は正式には「内閣官房報償費」という。形式上は会計検査院の検査対象だが、官房長官が自分に交付した機密費(報償費)は、官房長官の領収証さえ提出すればよいことになっている。形ばかりの検査だけ受ける代わりに、戦前の機密費以上にブラックボックス化した。

関連キーワード

関連記事

トピックス

長澤まさみ
松本潤、野田秀樹氏の舞台で共演する長澤まさみを“別宅”に招いて打ち上げを開いた夜 私生活では距離があった2人がお互いを高め合う関係に
女性セブン
三田寛子がSNSに載せた初めてのツーショットの真相
《三田寛子の誕生日ツーショット》実は「バースデー当日の写真ではない」疑惑が浮上 中村芝翫は愛人と同棲する家へ直行していた
NEWSポストセブン
NHK・山内泉アナ(同社HPより)
《“絶叫アナ”が産休へ》NHK・山内泉アナが結婚していた!お相手は同級生の“慶應卒官僚”、「局内でも知る人は限られていた」極秘婚
NEWSポストセブン
事務所を対処し、独立を発表した若槻千夏(HPより、現在は削除済み)
《芸歴20年でマネージャー30人交代》若槻千夏、スタッフに毒舌「何であなたはできないの?」事務所退所の背景に周囲との深刻な溝
NEWSポストセブン
妻とみられる女性とともに買い物に出かけていた水原元通訳
《買い出しツーショット》水原一平被告が痩せてロン毛に…購入した「米とビール」にみる現状の生活
NEWSポストセブン
斎藤元彦知事。職場外でも“知事特権”疑惑が(時事通信)
【まるで独裁者】兵庫県・斎藤元彦知事「どこでも仕事すべき」と論じるSNS投稿に映しだされていた「真っ白なGoogleカレンダー」
NEWSポストセブン
再婚発表に賛否両論
東出昌大、再婚の裏側 親しい知人への報告は「発表の直前」 “山暮らしの後輩女優”の1人はSNSで「勝手」と意味深なメッセージ
女性セブン
現地のパパラッチに激写された水原一平被告(BACKGRID/アフロ)
《ドン・キホーテのビニール袋》水原一平被告が購入していた「オリオンビール」「ファミリーサイズの木製家具」浮かびあがる“束の間の夫婦生活”
NEWSポストセブン
中村芝翫と三田寛子(インスタグラムより)
《中村芝翫との誕生日ツーショット》三田寛子のまさかの投稿は「夫はビジネスパートナー」と割り切って成駒屋を支える決断か
NEWSポストセブン
外傷性ショックにより亡くなった村田結さん(25)
【広尾のマンションで25歳女性が死亡】交際相手が室温めぐり顔を殴るなどの暴行「明るくて良い子」「ギャクセン高くて、学業も優秀だった」同級生らが悲嘆
NEWSポストセブン
松田聖子も我慢の限界だという
神田沙也加さんの元恋人・前山剛久の芸能活動再開宣言 “とやかく言う人ではない”松田聖子も我慢の限界か 元夫・村田充は意味深投稿
女性セブン
8月30日、パワハラ疑惑などの事実関係の調査を進める百条委員会による初の証人尋問に出席した斎藤元彦兵庫県知事(46)。疑惑については認めない姿勢を固めている(時事通信フォト)
《職員アンケート新証言》意地でも辞めない斎藤元彦知事、イベント会場で「ハンガーの本数」にこだわる姿勢 職員らは普段から「30分以上前から入念な動線チェック」を徹底
NEWSポストセブン