ライフ

《カワジャ! カワジャになりたい》紛争地区の子どもたちが語った夢 「国境なき医師団」村田慎二郎氏が世界一過酷な場所で見つけた命の次に大事なこと

『「国境なき医師団」の僕が世界一過酷な場所で見つけた命の次に大事なこと』(サンマーク出版)より

「国境なき医師団」で日本の事務局長を務める村田慎二郎氏(写真/MSF提供)

 スーダン、シリア、イラク、イエメン──。世界の紛争地区で避難する人々は着のみ着のまま逃れ、家も学校もない。そんな過酷な場所で生き抜いている人々を目の当たりにしてきた国境なき医師団 日本の事務局長である村田慎二郎氏の著書『「国境なき医師団」の僕が世界一過酷な場所で見つけた命の次に大事なこと』(サンマーク出版)より一部抜粋し、再構成してお届けします。【前後編の前編】

 * * * 

「国境なき医師団」に所属していると言うと、医師だと思われることが多い。だが僕は医師ではない。海外派遣スタッフの半分は、非医療従事者。ここでは医師や看護師だけが働いているわけではないのだ。

 そもそも国境なき医師団は、1971年に医師とジャーナリストが設立した、人道援助団体。「中立を守るためには沈黙を保たなければいけない」という、当時の赤十字国際委員会の方針に疑問を抱いた人たちが、フランスで設立した。

 医療と証言活動の2つを軸にして「独立・中立・公平」の活動原則の下、70を超える国や地域で人道援助を展開している。

 僕はもともとIT企業の営業マンだった。そんな僕が最初に担当したポジションは、サプライ・ロジスティシャン。

 医師が100人いても、薬がないとなにもできない。援助活動に必要な医薬品などのすべての物資の調達と在庫管理を担当した。サプライチェーンの管理がしっかりしないと、すべてのプロジェクトが悪影響を受ける。きわめて大事な役割だった。

 その後、プロジェクトのマネジメントを行うプロジェクト責任者になった。

 チームの安全管理や現地当局との交渉がうまくいくかどうかも、紛争地では死活問題。営業マン時代にきたえられたコンテクスト(状況)を把握する力や、ネットワーキングのスキルが大いに役立った。

 そして国境なき医師団の歴史で日本人としてはじめて、派遣国のすべてのプロジェクトを指揮する現地の活動責任者に抜擢(ばってき)された。

 いまでは現場の経験を活(い)かし、事務局長として日本の事務局の運営を行っている。

 僕がこれまで世界の紛争地で出会った人たちには、生きる上で多くの制限があった。突然、命を奪われる現実があった。生きる上での尊厳を奪われる現実があった。

関連記事

トピックス

田村瑠奈被告(右)と父の修被告
「ハイターで指紋は消せる?」田村瑠奈被告(30)の父が公判で語った「漂白剤の使い道」【ススキノ首切断事件裁判】
週刊ポスト
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
暴力団幹部たちが熱心に取り組む若見えの工夫 ネイルサロンに通い、にんにく注射も 「プラセンタ注射はみんな打ってる」
NEWSポストセブン
10月には10年ぶりとなるオリジナルアルバム『Precious Days』をリリースした竹内まりや
《結婚42周年》竹内まりや、夫・山下達郎とのあまりにも深い絆 「結婚は今世で12回目」夫婦の結びつきは“魂レベル”
女性セブン
騒動の発端となっているイギリス人女性(SNSより)
「父親と息子の両方と…」「タダで行為できます」で世界を騒がすイギリス人女性(25)の生い立ち 過激配信をサポートする元夫の存在
NEWSポストセブン
宇宙飛行士で京都大学大学院総合生存学館(思修館)特定教授の土井隆雄氏
《アポロ11号月面着陸から55年》宇宙飛行士・土井隆雄さんが語る、人類が再び月を目指す意義 「地球の外に活動領域を広げていくことは、人類の進歩にとって必然」
週刊ポスト
九州場所
九州場所「溜席の着物美人」の次は「浴衣地ワンピース女性」が続々 「四股名の入った服は応援タオル代わりになる」と桟敷で他にも2人が着用していた
NEWSポストセブン
初のフレンチコースの販売を開始した「ガスト」
《ガスト初のフレンチコースを販売》匿名の現役スタッフが明かした現場の混乱「やることは増えたが、時給は変わらず…」「土日の混雑が心配」
NEWSポストセブン
希代の名優として親しまれた西田敏行さん
《故郷・福島に埋葬してほしい》西田敏行さん、体に埋め込んでいた金属だらけだった遺骨 満身創痍でも堅忍して追求し続けた俳優業
女性セブン
佐々木朗希のメジャーでの活躍は待ち遠しいが……(時事通信フォト)
【ロッテファンの怒りに球団が回答】佐々木朗希のポスティング発表翌日の“自動課金”物議を醸す「ファンクラブ継続更新締め切り」騒動にどう答えるか
NEWSポストセブン
越前谷真将(まさよし)容疑者(49)
《“顔面ヘビタトゥー男”がコンビニ強盗》「割と優しい」「穏やかな人」近隣住民が明かした容疑者の素顔、朝の挨拶は「おあようございあす」
NEWSポストセブン
歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
天皇陛下にとって百合子さまは大叔母にあたる(2024年11月、東京・港区。撮影/JMPA)
三笠宮妃百合子さまのご逝去に心を痛められ…天皇皇后両陛下と愛子さまが三笠宮邸を弔問
女性セブン