江川と西本「生涯成績比較」

江川と西本「生涯成績比較」

──江川さんの入団時はチーム内でもハレーションがありましたか?

西本:はっきり言って、(入団の仕方が)これはダメだなと思った。

江川:はっきり言っちゃったね。ニシは、(トレードに出された)小林(繁)さんにも可愛がってもらってたもんね。

西本:キャンプ前日の羽田空港で小林さんが突然、関係者に両腕抱えられて連行されるのを見ているから。拉致よ、あれは。そりゃ、江川さん入ってきたら雰囲気悪くなるよ。

江川:だから初めての多摩川での練習で、誰もキャッチボールしてくれないのよ。それを見かねたニシが「やろか~」と声をかけてくれた。ひとつ聞きたかったんだけど、どうしてあの時、相手をしてくれたの?

西本:誰もしないから、自分しかいないなと思って声をかけたんだけど。自分が同じ立場だったら嫌じゃない。

江川:本当は、どのくらいの力か見てやろうとか思ったんじゃない?

西本:そこまでは頭回らないから(笑)。

江川:あの時は本当にありがたいなと思った。定岡もしてくれないし、学生野球で一緒だった鹿取(義隆)も「すみません、ちょっと」って。みんなから「するな」って言われてたんでしょうね。誰もやってくれないから壁にぶつけようかと思ったよ(一同笑)。

第2回に続く

【プロフィール】
江川卓(えがわ・すぐる)/1955年、福島県生まれ。作新学院にて数々の記録を達成した後、法政大学に進学しエースとして活躍。米・南加大野球留学を経て、1979年に読売ジャイアンツに入団。MVPなど多数の記録を残し、1987年に引退。現在は野球解説など多方面に活躍中でYouTubeチャンネル「江川卓のたかされ」が話題。

西本聖(にしもと・たかし)/1956年、愛媛県生まれ。1974年に松山商業からドラフト外で読売ジャイアンツに入団、沢村賞などを獲得。その後、中日、オリックスを経て再び巨人で引退。ドラフト外史上初の150勝を達成した。コーチとしても数々の球団で指導した。現在は野球解説者として活躍中。

※週刊ポスト2024年1月1・5日号

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