性感染症に対する予防法や治療法、検査の窓口などが周知されることで自分事として考えられ、安心して話ができるようになるのではないか。センシティブな話題だからこそ、話すことが怖いという“心の壁”を取り払えるようなきっかけ作りに尽力したいと、Maasaさんは語った。
彼女にとって、渡米してカルチャーショックを受けたことに心のケアがあるという。
「アメリカでは体を鍛えるためにジムへ行ったり、髪をトリートメントするために美容院へ行くのと同じ感覚で、メンタルのカウンセリングを受けます。“今、気持ちが沈んでいる”と人に打ち明ける状態は病気ではないんだよと、フランクに悩みを話せる環境があるんです。自分と向き合うメディテーション(瞑想)の習慣もそう。限界まで自分を追い詰む前に誰かと話して不安を解消し、心を開放することは、実はとっても大事なこと。
最近は、“Maasaさんのポジティブなエナジーをわけてほしい!”と、ダンス初心者の日本人高齢者の方などもレッスンに来てくださるんです。メンタルケアで心の健康を保つことで、そうしたハッピーなオーラを感じてもらえるのかなって、思っています」
そう話し、明るい笑顔を輝かせた。性感染症の拡大防止とダンスを通じた健康増進。かけ離れた取り組みにも感じられるが、Maasaさんいわく、1本の線で繋がっているという。
「人間、体が資本です。人生を謳歌するにも、健康でいないと。ダンスで体を動かすことも、性感染症の検査をすることも、どちらも健康を守るために意味がある。梅毒は生まれてくる赤ちゃんにも影響を及ぼすので、将来の家族の健康を守ることにも繋がります。
体と心は表裏一体で切り離せません。私自身、心のケアばかりにフォーカスしすぎると頭がパンクしそうになってしまいます。だから煮詰まったら外へ出て走ったり、ダンスをして汗をかくんです。すると、もやもやしていたものが発散されて“まぁ、いいかな”って、すっきりする。肉体面と精神面、どちらもコントロールできてこその健康だと実感しています」
ダンスで生きがいを創出することもまた、毎日をはつらつと過ごすための心のケアの一環だろう。Maasaさんはそう考えて、腰痛や五十肩など、加齢による体の不調を軽減するようなダンスを仲間と研究していると明かし、「健康一番プロジェクト」サポーターとして、幅広い年代の心と体の健康について日々想いを巡らせている。