静岡県にある私立磐田東高等学校の剣道部で、当時高校1年生の男子生徒が複数の上級生らから「急所を殴打」「スプーンで前歯を叩かれる」「ビンタSNS動画撮影」の暴力、無理やり「喫煙」「飲酒」などを強要される凄惨ないじめを受けていたことを今年9月にNEWSポストセブンが報じた。
被害届を受理して捜査を進めていた静岡県警は、いじめに関与したとして、元上級生ら2人(事件後に自主退学)を12月8日に暴行の疑いで書類送検し、静岡地検浜松支部が同月25日に上級生2人を家裁送致したことがわかった。いじめ行為を撮影した疑いで別の加害生徒2人も書類送検されたが、立件は見送られていた。上級生の書類送検を受け、改めていじめについて詳報する。
凄惨ないじめの実態
同校は多くのJリーガーやプロ野球選手を輩出しているスポーツ強豪校で、凄惨ないじめは今年3月まで全国選抜大会7年連続出場を誇る剣道部内で起きた。
いじめ被害にあったA君が高校生活を送っていたのは、高校から車で10分ほどの距離にある剣道部の寮だった。40代の剣道部顧問は剣道六段、全国大会優勝経験者で同学校の教員をしている。顧問の所有する自宅が寮として使用され、顧問本人と寮母をつとめる妻は道を隔てた対面のアパートでほかの部員たちと生活していた。事件当時の寮内は、生徒のみが暮らす状況だった。
NEWSポストセブンでは、この寮で行われていた複数のいじめの証拠動画を確認している。動画には、正座をして口を開けるよう命じられたA君が金属製のスプーンで歯を打ち付けられる様子や、道場で正座させられたA君が上級生からビンタされている様子、スパイダーマンのコスチュームを着たA君がスマホを持った複数の上級生に囲まれ、急所を殴打される様子などがおさめられていた。
A君をめぐってはほかにも、暴力だけでなく、理不尽な稽古の様子を撮影した画像や動画が複数、存在する。寮内で上級生からタバコを吸うことを強要され、無理やりお酒を飲まされたこともあったという。