一連の被害が発覚したのは今年2月。いじめを受けたA君が命懸けで寮から逃げ出し、すべてを保護者に打ち明けたのだ。いじめを把握した保護者からの訴えで、学校はそのときに初めていじめの実態を把握したという。
3月12日には、緊急保護者会が開催され、いじめの全容が明らかになっていない状態での「謝罪の場」が設けられた。剣道部の活動が1カ月間停止に(現在は活動を再開)。3月13日には、学校がいじめの防止対策調査委員会を設置し、部員らへの聞き取りを実施。そして、4月には部の保護者会を開催し、いじめに加担した生徒3名の自主退学処分が発表された。また、被害を受けたA君は学校に通うことは精神的に難しくなり、WEB等での授業参加が可能か学校に相談したが、受け入れられずやむなく4月に転校している。
いじめ被害者の保護者が語る悲痛な思い
一方で、保護者から被害届を受理した磐田警察署は学校や寮、武道場の現場検証を実施し、捜査を進めていた。学校は今回の件をいじめ防止対策推進法の「重大事態」に認定し、8月からは第三者委員会による再調査が始まった。当時、NEWSポストセブンが学校にいじめの事実、警察による現場検証について問い合わせると、以下のように回答していた。
「この件に関しましては、現在、第三者委員会にすべてを委ねて調査を行っていますので、現段階での回答は差し控えます」
だが、今回のいじめで自主退学したのは上級生3人(2人が家裁送致)で、いじめに加わっていた現役の幹部部員1人は書類送検されたが、立件は見送られたという。いじめ発覚から10カ月が経とうとしているが、調査は進展していない。A君の保護者は現在の切実な心境をこう語った。
「第三者委員会は設置されましたが、10月に1度連絡があっただけで、それ以降、何も連絡はありません。寄り添うどころか、現状確認のために弁護士を通じて連絡しても無視されているような状況で、不信感があります。息子が夢見ていた高校生活はもう戻っては来ません。真実を明らかにしてほしいです」
名門剣道部から元部員らが書類送検されるという異例の事態に、学校はどこまで被害生徒といじめ問題に向き合えるだろうか。
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(怯える少年を見て笑う声)静岡県 私立・磐田東高等学校の
剣道部員がSNSで拡散した「いじめ動画」の一部金属製のスプーンを
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