都内のラーメン店前にできた行列に並んでいたアルゼンチン人のアリエルさん(仮名・40代)は、2泊の日程で来日したが、滞在残り半日を残して、すでに6つのラーメン店を訪ねたと胸を張りつつ、持論を展開する。
「醤油に豚骨、味噌に塩などさまざまで、さらに同じ豚骨でも一つとして同じラーメンはなく、どれも芸術的。そう、ラーメンは芸術品です。牛丼も最高だし、1人で食べる焼肉店の席は狭かったけど、肉は美味しく、ライスは何倍もおかわりができた。それで10ドルもしないなんて、とても信じられない国です。日本は犯罪が少ない国だと言いますが、これほど安く美味しい食事ができているため、国民の不満がないのでしょうね」(アリエルさん)
インバウンド客といえば、大胆に消費する金持ちの外国人、というイメージが強かったが、コロナ禍後の客層は随分と異なっている。確かに、日本人としては「もっとどんどん金を使ってほしい」「爆買いをしてほしい」と考えがちだが、彼らは、日本の大衆的な文化に感激し、わたしたちの日常に魅了されている。一部、金払いの悪い外国人が押し寄せて迷惑、という見解を示す人もいるかもしれないが、日本文化に敬意を払ってくれる新たなインバウンド客たちには、私たちもしっかり敬意を返しておきたいところである。