9日目に国技館で行なわれた雑誌協会との懇話会で八角理事長(元横綱・北勝海)に尋ねると、こんな答えが返ってきた。

「公傷制度自体が難しいですね。よく話に出るんですが、どこまでが公傷なのかと……。ケガした翌日に我慢して出場し、やはりダメで休場しても公傷にならない。そういう判断が難しい。

 今は、ケガをしたら番付が落ちるが、頑張ってケガを治してまた番付を上げていくという感覚になっている。それも修行だと思いますけどね。ケガで陥落した大関も少なくないですが、照ノ富士のように序二段まで落ちても力があれば再び横綱まで上がることができる。そういう強い精神がないと上がってこられない。口で言うのは簡単ですけど、大変な努力だと思いますよ。

 朝乃山には“大関に復帰するだけではダメだよ。横綱に上がって応援してくれたファンに恩返ししないといけない”といつも言ってあります。うちの北勝富士も一晩様子を見たが今日(9日目)から休場です。休場すると(不戦勝の取組が生じて)1番少なくなるので、お客さんには申し訳ないという思いがある。ただ、公傷復活は難しいだろうね」

 ケガをしない柔軟な体とケガをしても挫けない強い精神力が求められる相撲。大関昇進の目安となる3場所33勝や、綱取りで求められる2場所連続優勝というハードルがいかに高いかよくわかる。心技体が充実した者だけが大関や横綱を名乗ることができるということなのだろう。

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