福岡で30年以内に…
次に、活断層地震に目を向ける。日本では約2000の活断層が確認されているが、政府は30年以内に3%以上の確率で地震を引き起こすと予想される活断層を危険度の高い「Sランク」として記載。その数は全国に31か所ある。
3%という数値は、70%や90%といった海溝型地震に比べてずいぶん低く感じるが、油断は禁物だ。阪神・淡路大震災(1995年)の発生確率は「0.02〜8%」、2016年の熊本地震は「ほぼ0〜0.9%」だった。「糸魚川—静岡構造線断層帯」の中北部区間は、「14〜30%」と抜きん出る。
前述の通り、地震はある一定の周期で繰り返されると考えられており、政府が発表したデータにも「平均活動間隔」と「最新活動時期」が記されている。それによれば、「糸魚川—静岡構造線断層帯」は過去600〜800年ごとに地震を繰り返しているが、ここ800年間は地震が起きていない。つまり、「いつ起きてもおかしくない」状態にあるといえるのだ。
不気味な沈黙を続ける断層もある。
「日奈久断層帯は、熊本地震を起こした断層帯の延長上にあります。本来であれば熊本地震の際にズレていてもおかしくなかったのですが、それがいまだにズレを起こしていない。近い将来、大きな地震を引き起こすとみられています」
海溝型と活断層地震とでは、揺れや被害の発生状況に違いがある。海溝型地震は震源地が深く、陸地からの距離も離れているため、大きな横揺れが広範囲で起こる。一方、活断層地震は震源が浅く、狭いエリアに被害が集中するのが特徴だ。
「直下にある断層のズレによる激しい縦揺れが、一気に突き上げてくるイメージです。影響が出る範囲は限定的ですが、建物や高速道路が倒壊するなど、そのエリアは一瞬にして壊滅状態となる」
では、もっとも大きな被害をもたらすであろう活断層はどこなのか。
「人口密度の高い地域は、被害が大きくなると考えられます。その観点からいえば、30年以内の発生確率が“0.3〜6%”と高く、かつ人が多く暮らす福岡県福岡市を走る警固断層が危険な断層といえるのではないでしょうか。博多にも東京でいえば下町エリアのように地盤の弱い地域も少なくありません。警固断層で大きな地震が起きれば、死者1万人規模の被害が出ることが考えられます」
そしてまだ確認されていない「未知の断層」も脅威の存在だという。
「首都圏周辺は、関東ローム層という富士山の火山灰が降り積もってできた地層上にあります。活断層の上に毛布がかかっているような状態なので、はっきりと確認するのが難しい。未知の断層は全国に20万以上あるともいわれており、これらの断層で大地震が起こる可能性は充分にあります」
2004年の新潟県中越地震、2008年の岩手・宮城内陸地震、2018年の北海道胆振東部地震も、未知の活断層によるものだった。政府が公開した最新データが示すのは、「巨大地震はいつどこで発生してもおかしくない」という現実なのだ。
※女性セブン2024年2月15日号