東日本大震災で発生した巨大津波。(岩手県宮古市/2011年)写真/アフロ

東日本大震災で発生した巨大津波(岩手県宮古市/2011年)写真/アフロ

福岡で30年以内に…

 次に、活断層地震に目を向ける。日本では約2000の活断層が確認されているが、政府は30年以内に3%以上の確率で地震を引き起こすと予想される活断層を危険度の高い「Sランク」として記載。その数は全国に31か所ある。

 3%という数値は、70%や90%といった海溝型地震に比べてずいぶん低く感じるが、油断は禁物だ。阪神・淡路大震災(1995年)の発生確率は「0.02〜8%」、2016年の熊本地震は「ほぼ0〜0.9%」だった。「糸魚川—静岡構造線断層帯」の中北部区間は、「14〜30%」と抜きん出る。

 前述の通り、地震はある一定の周期で繰り返されると考えられており、政府が発表したデータにも「平均活動間隔」と「最新活動時期」が記されている。それによれば、「糸魚川—静岡構造線断層帯」は過去600〜800年ごとに地震を繰り返しているが、ここ800年間は地震が起きていない。つまり、「いつ起きてもおかしくない」状態にあるといえるのだ。

 不気味な沈黙を続ける断層もある。

「日奈久断層帯は、熊本地震を起こした断層帯の延長上にあります。本来であれば熊本地震の際にズレていてもおかしくなかったのですが、それがいまだにズレを起こしていない。近い将来、大きな地震を引き起こすとみられています」

 海溝型と活断層地震とでは、揺れや被害の発生状況に違いがある。海溝型地震は震源地が深く、陸地からの距離も離れているため、大きな横揺れが広範囲で起こる。一方、活断層地震は震源が浅く、狭いエリアに被害が集中するのが特徴だ。

「直下にある断層のズレによる激しい縦揺れが、一気に突き上げてくるイメージです。影響が出る範囲は限定的ですが、建物や高速道路が倒壊するなど、そのエリアは一瞬にして壊滅状態となる」

 では、もっとも大きな被害をもたらすであろう活断層はどこなのか。

「人口密度の高い地域は、被害が大きくなると考えられます。その観点からいえば、30年以内の発生確率が“0.3〜6%”と高く、かつ人が多く暮らす福岡県福岡市を走る警固断層が危険な断層といえるのではないでしょうか。博多にも東京でいえば下町エリアのように地盤の弱い地域も少なくありません。警固断層で大きな地震が起きれば、死者1万人規模の被害が出ることが考えられます」

 そしてまだ確認されていない「未知の断層」も脅威の存在だという。

「首都圏周辺は、関東ローム層という富士山の火山灰が降り積もってできた地層上にあります。活断層の上に毛布がかかっているような状態なので、はっきりと確認するのが難しい。未知の断層は全国に20万以上あるともいわれており、これらの断層で大地震が起こる可能性は充分にあります」

 2004年の新潟県中越地震、2008年の岩手・宮城内陸地震、2018年の北海道胆振東部地震も、未知の活断層によるものだった。政府が公開した最新データが示すのは、「巨大地震はいつどこで発生してもおかしくない」という現実なのだ。

※女性セブン2024年2月15日号

能登半島地震で倒壊した街並み。(石川県輪島市/2024年)時事通信フォト

能登半島地震で倒壊した街並み(石川県輪島市/2024年)時事通信フォト

関連キーワード

関連記事

トピックス

10月に公然わいせつ罪で逮捕された草間リチャード敬太被告
《グループ脱退を発表》「Aぇ! group」草間リチャード敬太、逮捕直前に見せていた「マスク姿での奇行」 公然わいせつで略式起訴【マスク姿で周囲を徘徊】
NEWSポストセブン
65歳ストーカー女性からの被害状況を明かした中村敬斗(時事通信フォト)
《恐怖の粘着メッセージ》中村敬斗選手(25)へのつきまといで65歳の女が逮捕 容疑者がインスタ投稿していた「愛の言葉」 SNS時代の深刻なストーカー被害
NEWSポストセブン
俳優の水上恒司が年上女性と真剣交際していることがわかった
「はい!お付き合いしています」水上恒司(26)が“秒速回答、背景にあった恋愛哲学「ごまかすのは相手に失礼」
NEWSポストセブン
三田寛子と能條愛未は同じアイドル出身(右は時事通信)
《梨園に誕生する元アイドルの嫁姑》三田寛子と能條愛未の関係はうまくいくか? 乃木坂46時代の経験も強み、義母に素直に甘えられるかがカギに
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる(クマの画像はサンプルです/2023年秋田県でクマに襲われ負傷した男性)
ヒグマが自動車事故と同等の力で夫の皮膚や体内組織を損傷…60代夫婦が「熊の通り道」で直面した“衝撃の恐怖体験”《2000年代に発生したクマ被害》
NEWSポストセブン
対談を行った歌人の俵万智さんと動物言語学者の鈴木俊貴さん
歌人・俵万智さんと「鳥の言葉がわかる」鈴木俊貴さんが送る令和の子どもたちへメッセージ「体験を言葉で振り返る時間こそが人間のいとなみ」【特別対談】
NEWSポストセブン
大谷翔平選手、妻・真美子さんの“デコピンコーデ”が話題に(Xより)
《大谷選手の隣で“控えめ”スマイル》真美子さん、MVP受賞の場で披露の“デコピン色ワンピ”は入手困難品…ブランドが回答「ブティックにも一般のお客様から問い合わせを頂いています」
NEWSポストセブン
佳子さまの“ショッキングピンク”のドレスが話題に(時事通信フォト)
《5万円超の“蛍光ピンク服”》佳子さまがお召しになった“推しブランド”…過去にもロイヤルブルーの “イロチ”ドレス、ブラジル訪問では「カメリアワンピース」が話題に
NEWSポストセブン
「横浜アンパンマンこどもミュージアム」でパパ同士のケンカが拡散された(目撃者提供)
《フル動画入手》アンパンマンショー“パパ同士のケンカ”のきっかけは戦慄の頭突き…目撃者が語る 施設側は「今後もスタッフ一丸となって対応」
NEWSポストセブン
大谷翔平を支え続けた真美子さん
《大谷翔平よりもスゴイ?》真美子さんの完璧“MVP妻”伝説「奥様会へのお土産は1万5000円のケーキ」「パレードでスポンサー企業のペットボトル」…“夫婦でCM共演”への期待も
週刊ポスト
俳優の水上恒司が年上女性と真剣交際していることがわかった
【本人が語った「大事な存在」】水上恒司(26)、初ロマンスは“マギー似”の年上女性 直撃に「別に隠すようなことではないと思うので」と堂々宣言
NEWSポストセブン
劉勁松・中国外務省アジア局長(時事通信フォト)
「普段はそういったことはしない人」中国外交官の“両手ポケットイン”動画が拡散、日本側に「頭下げ」疑惑…中国側の“パフォーマンス”との見方も
NEWSポストセブン