『愛の不時着』も情報工作

 さて、日中関係は最近また悪化しつつあるという。直接のきっかけはいわゆる東京電力福島第一原子力発電所の「処理水」の問題で、この件については国際原子力機関(IAEA)が安全を確認し主要各国も承認しているのに、中国だけが「処理水」を「核汚染水」と呼び日本の水産物輸入をすべて止めている。

 最近テレビのニュース番組を見ていたら、日本の印象を問われた中国の少女が「日本は悪」だと即答していた。これは危険な兆候である。中国政府というか中国共産党は判断力のまだ固まらない少年少女に、教育で「日本は悪」だと教え込んでいるということだ。

 かつて韓国でも、「韓国と北朝鮮が同盟し、核ミサイルによって日本を降伏させる」という小説『ムクゲノ花ガ咲キマシタ』がベストセラーになり映画化され大ヒットしたことがあった。日本のマスコミはこうした重大な事実を「忖度」して報道しないので多くの日本人は知らないが、これは北朝鮮の情報工作の大成功であると言えよう。

 テレビドラマ『愛の不時着』の大ヒットも、広い意味での左翼勢力による情報工作の一環だと私は考えているが、それでも韓国がまだマシなのは、一応言論の自由があり批判もできるということである。中国ではそれができない。だから中国共産党の洗脳教育を受けた青少年がそのまま大人になって、核ミサイルの部隊に配属されるなどということもありうる。

 もちろん中国だってむやみやたらに核ミサイルをぶっ放したりはしないだろうが、今年正月早々の日航機と海保機の衝突事故だって誰も望んだわけでも無いのに起きた。人間の世界とはそういうものだ。とくに北朝鮮は、中国よりも独裁度が高いという点で非常に危険だ。もちろん金正恩だって核ミサイルなど他国に撃ち込んだら自滅するなどということはわかっているだろうが、たとえば後継者に先立たれ自分も不治の病にかかったりすれば、ヤケクソになって世界を道連れにするなどと考えないと誰が断言できよう。

 その点、中国は「共産党独裁」であって「金ファミリー独裁」で無いぶんまだマシと言えるかもしれない。また国民に一切外の世界を見せない北朝鮮と違って、中国は一般国民の海外旅行を許している。では、前出のようなあきらかに洗脳された少年少女に会ったら、私はどうするか? 「君はデタラメを教えられているのだよ」などとあからさまに真実を指摘するのは、じつは下の下である。

 青少年でも自分の国に対する愛国心はあるし、彼らにもプライドはあるから自分が騙されているなどということは簡単には認めたくない。だからこう言えばいい。「もし日本の排出している水が海をダメにしているのならば、なぜアメリカやオーストラリアや東南アジアの国々は文句を言わないのだろうか」「それに君の国から日本へ来た観光客は平気で寿司を食べてるんだけど、あの人たちは頭がおかしいのだろうか」。要するに、中国共産党の言っていることはデタラメなのだから矛盾点はいくらでも突けるわけだ。

 事あるごとに日本の歴史歪曲を非難する中国共産党が自国民に対して常に強調している最大の歴史歪曲、つまり「国民に認識されたくない歴史上の真実」はなにかと言えば、次の二点である。

【1】大日本帝国(日本軍国主義)に勝利し中国から駆逐したのは中国共産党(毛沢東)では無く、国民党(蒋介石)であること。
【2】歴史上、中国人をもっとも殺したのは日本軍国主義では無く、毛沢東であること。

 これは明白な歴史上の事実であって、否定できる者は誰もいない。大日本帝国は一九四五年(昭和20)にポツダム宣言を受諾することによって敗北したが、ポツダム宣言を発したのはイギリスの首相ウィンストン・チャーチル、アメリカ合衆国大統領ハリー・S・トルーマン、中華民国国民政府主席の蒋介石である(多くの人が誤解しているが、ソビエト連邦共産党書記長ヨシフ・スターリンはこの宣言に署名していない)。

関連記事

トピックス

いまだ“会食ゼロ”だという
「働いて働いて…」を地で行く高市早苗首相、首相就任後の生活は“寝ない”“食べない”“電話出ない” 食事や睡眠を削って猛勉強、激ヤセぶりに周囲は心配
女性セブン
政治資金の使途について藤田文武共同代表はどう答えるか(時事通信)
《政治資金で使われた赤坂キャバクラは新規60分4000円》維新・奥下議員が訪れたリーズナブルなキャバの店内は…? 「モダンな内装に個室もなく…」 コロナ5類引き下げ前のタイミング
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)
《バリ島でへそ出しトップスで若者と密着》お騒がせ金髪美女インフルエンサー(26)が現地警察に拘束されていた【海外メディアが一斉に報じる】
NEWSポストセブン
歌手・浜崎あゆみ(47)の上海公演が開催直前で突如中止に
《緊迫する日中関係》上海の“浜崎あゆみカフェ”からポスターが撤去されていた…専門家は背景に「習近平への過剰な忖度」の可能性を指摘
NEWSポストセブン
QuizKnock
快進撃を続けるQuizKnock、起用が増えた背景に“脱・伊沢拓司”と“負けっぷりの良さ”
NEWSポストセブン
大谷が語った「遠征に行きたくない」の真意とは
《真美子さんとのリラックス空間》大谷翔平が「遠征に行きたくない」と語る“自宅の心地よさ”…外食はほとんどせず、自宅で節目に味わっていた「和の味覚」
NEWSポストセブン
逮捕された村上迦楼羅容疑者(時事通信フォト)
《闇バイト強盗事件・指示役の“素顔”》「不動産で儲かった」湾岸タワマンに住み、地下アイドルの推し活で浪費…“金髪巻き髪ギャル”に夢中
NEWSポストセブン
「武蔵陵墓地」を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年12月3日、撮影/JMPA)
《曾祖父母へご報告》グレーのロングドレスで参拝された愛子さま クローバーリーフカラー&Aラインシルエットのジャケットでフェミニンさも
NEWSポストセブン
2021年に裁判資料として公開されたアンドルー王子、ヴァージニア・ジュフリー氏の写真(時事通信フォト)
《約200枚の写真が一斉に》米・エプスタイン事件、未成年少女ら人身売買の“現場資料”を下院監視委員会が公開 「顧客リスト」開示に向けて前進か
NEWSポストセブン
指示役として逮捕された村上迦楼羅容疑者
「腹を蹴れ」「指を折れ」闇バイト主犯格逮捕で明るみに…首都圏18連続強盗事件の“恐怖の犯行実態”〈一回で儲かる仕事 あります〉TikTokフォロワー5万人の“20代主犯格”も
NEWSポストセブン
海外セレブの間では「アスレジャー
というファッションジャンルが流行(ケンダル・ジェンナーのInstagramより)
《広瀬すずのぴったりレギンスも話題に》「アスレジャー」ファッション 世界的に流行でも「不適切」「不快感」とネガティブな反応をする人たちの心理
NEWSポストセブン
2018年、女優・木南晴夏と結婚した玉木宏
《ムキムキの腕で支える子育て》第2子誕生の玉木宏、妻・木南晴夏との休日で見せていた「全力パパ」の顔 ママチャリは自らチョイス
NEWSポストセブン