ライフ

【逆説の日本史】日本を悪者に仕立て上げ国民の不満を逸らして事実を隠蔽する中国共産党

作家の井沢元彦氏による『逆説の日本史』(イメージ)

作家の井沢元彦氏による『逆説の日本史』(イメージ)

 ウソと誤解に満ちた「通説」を正す、作家の井沢元彦氏による週刊ポスト連載『逆説の日本史』。近現代編第十三話「大日本帝国の確立VIII」、「常任理事国・大日本帝国 その4」をお届けする(第1408回)。

 * * *
 宝塚歌劇団や、「夏の甲子園」つまり全国高等学校野球選手権大会の問題に「寄り道」したことでちょっと本題から離れてしまったが、実際は「離れる」というほどでは無く、関連もある話だとわかっていただけたのではないか。

 たとえば、昭和ヒトケタ生まれの人たちのなかには天皇という存在を偏見の目でしか見られない人たちがいる。このことは何度も指摘した。もちろんそれは彼らのせいでは無く、昭和十年代から二十年にかけての学校教師が、事あるごとに「天皇陛下のために鬼畜米英と戦い死ぬのが忠義だ」「徴兵年齢に達しなくても志願すれば戦場に行ける」などと煽りに煽って、それを真に受けた純真な生徒たちが実際に戦場に行き犠牲となったにもかかわらず、昭和二十年八月十五日以降は「いままでの教育は間違っていました。アメリカさんと仲よくしましょう」と掌返ししたからである。

 この世代に生まれていれば、私も多くの左翼歴史学者のように「天皇という概念を無視するか、故意に貶めようとするエセ学者」になっていたかもしれない。日本史の特徴は天皇の存在なのに、それを無視したり軽視したりすれば本当の歴史の姿はつかめない。こういう人々には、「お気の毒だが、あなたたちの研究はほとんど価値が無い」という他は無い。

 では、私つまり井沢元彦にはそうした教師によって植え付けられた偏見は無いのかと言えば、偏見では無いが「恨み」はある。前回、いまから半世紀前に「阪神球団の幹部が自分のチームのエースに負けろと言った」という事実を述べたが、これはそれよりもさらに十年近く前の話だ。

 この稿が読者の目に触れるころ、一九五四年(昭和29)生まれの私は満七十歳になっているはずである。だから六十年以上前の話なのだが、そのころは小・中学校でも高校でも「真夏の炎天下で体育の授業をした後は、決して水を飲んではならない」という指導がされていた。若い人は耳を疑うかもしれないが、本当の話だ。六十五歳以上の人なら、明確に覚えているはずである。少なくとも「水をがぶ飲みしたら身体を壊す」という指導は受けたはずで、「レモン果汁などを少量取って喉の渇きを抑えたほうがいい」というのが常識であった。繰り返すが、本当の話である。

 だが、生来ひねくれ者の私はこの「常識」は絶対おかしいと思っていた。水は人間の生存にとってもっとも大切な物質の一つであり、炎天下で汗をかき大量に消耗したのなら、補給するのが当然だと思っていたからだ。そうこうするうちに、当時は珍しかったアメリカンフットボールの番組を見て、本場のアメリカでは選手がベンチに戻るたびにストローでボトルから水分を補給しているのに気がついた。そのボトルに「GATORADE(ゲータレード)」とあった。

「1965年に、フロリダ大学のアメリカンフットボールチーム『フロリダ・ゲイターズ』のために、同大学の医学・生理学者であったロバート・ケード博士によって開発された。ゲータレードという名称は、チーム名と飲料を意味する『エード』の合成語である」(Wikipediaより)。

 それから何年経っただろう。私の記憶では七〇年代後半だったと思うが、「スポーツをしたら必ず水分補給すること」というのが常識になった。日本を代表するスポーツ飲料『ポカリスエット』が発売されたのは、八〇年代に入ってからである。

関連記事

トピックス

タイ警察の取り調べを受ける日本人詐欺グループの男ら。2019年4月。この頃は日本への特殊詐欺海外拠点に関する報道は多かった(時事通信フォト)
海外の詐欺拠点で性的労働を強いられる日本人女性が多数存在か 詐欺グループの幹部逮捕で裏切りや報復などのトラブル続発し情報流出も
NEWSポストセブン
異物混入が発覚した来来亭(HP/Xより)
《虫のようなものがチャーシューの上を…動画投稿で物議》人気ラーメンチェーン店「来来亭」で異物混入疑惑が浮上【事実確認への同社回答】
NEWSポストセブン
6月9日付けで「研音」所属となった俳優・宮野真守(41)。突然の発表はファンにとっても青天の霹靂だった(時事通信フォトより)
《電撃退団の舞台裏》「2029年までスケジュールが埋まっていた」声優・宮野真守が「研音」へ“スピード移籍”した背景と、研音俳優・福士蒼汰との“ただならぬ関係”
NEWSポストセブン
小室夫妻に立ちはだかる壁(時事通信フォト)
《眞子さん第一子出産》年収4000万円の小室圭さんも“カツカツ”に? NYで待ち受ける“高額子育てコスト”「保育施設の年間平均料金は約680万円」
週刊ポスト
週刊ポストの名物企画でもあった「ONK座談会」2003年開催時のスリーショット(撮影/山崎力夫)
《追悼・長嶋茂雄さん》王貞治氏・金田正一氏との「ONK座談会」を再録 金田氏と対戦したプロデビュー戦を振り返る「本当は5打席5三振なんです」
週刊ポスト
打撃が絶好調すぎる大谷翔平(時事通信フォト)
大谷翔平“打撃が絶好調すぎ”で浮上する「二刀流どうするか問題」 投手復活による打撃への影響に懸念“二刀流&ホームラン王”達成には7月半ばまでの活躍が重要
週刊ポスト
懸命のリハビリを続けていた長嶋茂雄さん(撮影/太田真三)
長嶋茂雄さんが病に倒れるたびに関係が変わった「長嶋家」の長き闘い 喪主を務めた次女・三奈さんは献身的な看護を続けてきた
週刊ポスト
6月9日、ご成婚記念日を迎えた天皇陛下と雅子さま(JMPA)
【6月9日はご成婚記念日】天皇陛下と雅子さま「32年の変わらぬ愛」公務でもプライベートでも“隣同士”、おふたりの軌跡を振り返る
女性セブン
(インスタグラムより)
「6時間で583人の男性と関係を持つ」企画…直後に入院した海外の20代女性インフルエンサー、莫大な収入と引き換えに不調を抱えながらも新たなチャレンジに意欲
NEWSポストセブン
中国・エリート医師の乱倫行為は世界中のメディアが驚愕した(HPより、右の写真は現在削除済み)
《“度を超えた不倫”で中国共産党除名》同棲、妊娠、中絶…超エリート医師の妻が暴露した乱倫行為「感情がコントロールできず、麻酔をかけた患者を40分放置」
NEWSポストセブン
清原和博氏は長嶋さんの逝去の翌日、都内のビル街にいた
《長嶋茂雄さん逝去》短パン・サンダル姿、ふくらはぎには…清原和博が翌日に見せた「寂しさを湛えた表情」 “肉体改造”などの批判を庇ったミスターからの「激励の言葉」
NEWSポストセブン
貴乃花は“令和の新横綱”大の里をどう見ているのか(撮影/五十嵐美弥)
「まだまだ伸びしろがある」…平成の大横綱・貴乃花が“令和の新横綱”大の里を語る 「簡単に引いてしまう欠点」への見解、綱を張ることの“怖さ”とどう向き合うか
週刊ポスト