なでしこの会の事務所にN社が入居していたのは、そうした経緯があったようだ。
「N社が通常の業務をするなかで、なでしこの会の業務もすべて担っているので、杉田さん側は事務所スタッフを抱えていないはずです」(同前)
不可解なのは杉田氏からN社へと支払われるカネだ。なでしこの会の収支報告書によれば、2018年から2020年まではN社に対して毎月20万~30万円超の業務委託費が支出されていたが、2021年、2022年にはN社への業務委託費の記載が消えた。
同時に、それまで年間わずか2万~3万円だったなでしこの会の人件費が2021年に399万3693円、2022年に427万2252円計上された。
ちなみに2020年のN社への業務委託費は計396万円。これに同年の人件費3万3693円を加えると業務委託費の記載が消えた2021年に計上された人件費と端数まで同じである。なぜ業務委託費が消え、入れ替わるように人件費が計上されたのか。
この点を追うと、杉田氏が“身内企業”であるN社への出費を収支報告書から隠蔽した疑惑が浮上した。
収支報告書における人件費はブラックボックス
N社の代表取締役であるA氏に、杉田氏からの業務委託に関してどのような形で、どのようなスタッフが行なっているのかを聞いた。
「業務委託を受けて、ウチの社員が杉田さんの事務所業務を行なっています。内容は主に宝塚市の支援者に対する情報発信などです。杉田さんの支援者からの電話対応もあるので、業務委託という形をとっているんです」
そう回答したA氏だが、2021、2022年に収支報告書から業務委託費の記載が消えていることを伝えると、「業務委託は現在進行形ですが……」とやや驚いた様子。A氏からすれば、これまでと変わらず“業務委託費が計上されている”との認識だったようだ。
同じタイミングでなでしこの会が年間約400万円の人件費を計上していることについては「人件費はウチは頂いてないです。よく分からないので、杉田さんに聞いてもらえますか?」と語った。前出の関係者が語る。
「杉田さんからすれば、N社は自身が設立し、過去には役員も務めていた企業です。そんなN社に業務委託費を支払い続けるのは“身内企業への供与”とも捉えられかねない。そこで出費先を記載せずに済む人件費に付け替えたのではないか」