“レディース専門誌”という異色のテーマで第29回小学館ノンフィクション大賞を受賞したのが、『ティーンズロード』元編集長・比嘉健二氏の著書『特攻服少女と1825日』。発売後、大反響を受けて重版に至った同作は『笑点』新メンバーでおなじみの春風亭一之輔もラジオで取り上げた「話題の1冊」だ。古典と不良──真逆の世界にいるはずの2人の対談は、意外なほど盛り上がった。
春風亭一之輔(以下、一之輔):書店で平積みになっていたのでたまたま。『ティーンズロード』の名前はあの頃から知っていたんですけど、女の子向けのちょっと独特なファッション雑誌というイメージだったから、ちゃんと読んだことはなくて。だからレディースの子が読者の悩みに答えてたり、編集部の留守電に不良たちから常にメッセージが入っていたというのを初めて知って、驚きました。
比嘉健二(以下、比嘉):そうそう、グラビアページが目立つけれど、シンナーは絶対やめようとか、真面目なテーマも多かったんです。そもそも一之輔さんは『ティーンズロード』と同じ世代?
一之輔:いや、僕よりちょっと上の世代です。中学の頃ですね、暴走族の誰が抜けるとか抜けないとか聞いたのは。
比嘉:地元は千葉の野田でしたっけ?
一之輔:そうです。高校は埼玉の春日部で。
比嘉:野田と春日部、完璧に『ティーンズロード』コースだ(笑)。特に野田の暴走族はすごかったんだから。
一之輔:有名なチームがいたんですよね(笑)。よく壁に“参上”っていう落書きがありました。
比嘉:春日部にもそれっぽいやつ、残ってたでしょう?
一之輔:うちの高校は比較的真面目な進学校だったのでいなかったんですけど、電車の中で会う他校生で悪そうな奴、よく見かけましたね。短ランとかボンタンとか、ヤンキーアイテムを売る専門のブティックが春日部にあって(笑)。当時はヤンキーじゃなくても少し崩す感じで着るのが流行っていたから、僕もそこで龍の絵が描かれた裏ボタンを買ったことがあります。