スポーツ

蛯名正義氏が振り返る個性的すぎる先輩ジョッキーたち 「現代のレースの乗り方の基本は岡部幸雄さんが確立した」

蛯名正義氏が振り返る個性的すぎる先輩ジョッキーたち

蛯名正義氏が振り返る個性的すぎる先輩ジョッキーたち

 1987年の騎手デビューから34年間にわたり国内外で活躍した名手・蛯名正義氏は、2022年3月から調教師として活動中だ。そんな蛯名氏の週刊ポスト連載『エビショー厩舎』。新人騎手時代に多くを教わった先輩ジョッキーたちとの思い出についてお届けする。

 * * *
 僕がデビューした頃の関東のトップジョッキーといえば、増沢末夫さんや郷原洋行さん、柴田政人さんに岡部幸雄さんなどがリーディング上位の常連。それに菅原泰夫さん、田村正光さん、大崎昭一さんなど、みな大レースでの実績も十分で、その牙城はちょっとやそっとでは崩せない感じでした。少し若いところで的場均さん(現調教師)、競馬学校の先輩だった柴田善臣さんや横山典弘さんが続いていました。

 関西では南井克巳さんや河内洋さん、田原成貴さんなど、少し若い世代がリーディング上位に君臨していましたが、当時はいまほど関東と関西の交流はなかったように思います。

 僕は関東のリーディング上位のベテラン騎手それぞれのストロングポイントを研究したり、話を聞いたりして勉強させてもらいました。

 ホンネを言わないような方もいたけれど、幸い歳がだいぶ離れていたので、総じて親切に教えてくれました。はぐらかされている時もあったし、とぼけている人もいる一方、一生懸命話してくれているのに抽象的で分かりにくかったり、論理的すぎて若い僕には言っていることが理解できないこともあった。

 なんとなく怖そうで、近づきがたいような雰囲気の先輩もいたけれど、僕はジョッキーが好きでジョッキーになったので、いろいろなジョッキーを見たり話をうかがったりするのも仕事のうちだと思っていました。競馬がある前の日は、みな外の世界と隔離された調整ルームで過ごさなければいけないのですが、そこでも座る席が決まっていて、最初は知らないから、座っていたら怒られました。「お、あんちゃん」って、無言のプレッシャーが(笑)。でも、乗り馬を回してもらったこともあるし、可愛がってもらいました。

 酒癖が悪いとか、話が長いとかいろいろな先輩がいました。前に乗ったことがある人に癖を聞いたりした時は、乗ってみてなるほどなと思うことが多かったけれど、全部言ってくれないこともあった。レースの後でそのことを言ったら「あ、忘れてたわ」とか言って。

 優しい先輩もいたけれど、みな一癖も二癖もありましたし、そういう人の方が勝ってました。僕もあと三癖ぐらいあったら、もっと勝てたかもしれない(笑)。

関連キーワード

関連記事

トピックス

紅白初出場のNumber_i
Number_iが紅白出場「去年は見る側だったので」記者会見で見せた笑顔 “経験者”として現場を盛り上げる
女性セブン
ストリップ界において老舗
【天満ストリップ摘発】「踊り子のことを大事にしてくれた」劇場で踊っていたストリッパーが語る評判 常連客は「大阪万博前のイジメじゃないか」
NEWSポストセブン
大村崑氏
九州場所を連日観戦の93歳・大村崑さん「溜席のSNS注目度」「女性客の多さ」に驚きを告白 盛り上がる館内の“若貴ブーム”の頃との違いを分析
NEWSポストセブン
弔問を終え、三笠宮邸をあとにされる美智子さま(2024年11月)
《上皇さまと約束の地へ》美智子さま、寝たきり危機から奇跡の再起 胸中にあるのは38年前に成し遂げられなかった「韓国訪問」へのお気持ちか
女性セブン
佐々木朗希のメジャー挑戦を球界OBはどう見るか(時事通信フォト)
《これでいいのか?》佐々木朗希のメジャー挑戦「モヤモヤが残る」「いないほうがチームにプラス」「腰掛けの見本」…球界OBたちの手厳しい本音
週刊ポスト
野外で下着や胸を露出させる動画を投稿している女性(Xより)
《おっpいを出しちゃう女子大生現る》女性インフルエンサーの相次ぐ下着などの露出投稿、意外と難しい“公然わいせつ”の落とし穴
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
結婚を発表した高畑充希 と岡田将生
岡田将生&高畑充希の“猛烈スピード婚”の裏側 松坂桃李&戸田恵梨香を見て結婚願望が強くなった岡田「相手は仕事を理解してくれる同業者がいい」
女性セブン
電撃退団が大きな話題を呼んだ畠山氏。再びSNSで大きな話題に(時事通信社)
《大量の本人グッズをメルカリ出品疑惑》ヤクルト電撃退団の畠山和洋氏に「真相」を直撃「出てますよね、僕じゃないです」なかには中村悠平や内川聖一のサイン入りバットも…
NEWSポストセブン
注目集まる愛子さま着用のブローチ(時事通信フォト)
《愛子さま着用のブローチが完売》ミキモトのジュエリーに宿る「上皇后さまから受け継いだ伝統」
週刊ポスト
連日大盛況の九州場所。土俵周りで花を添える観客にも注目が(写真・JMPA)
九州場所「溜席の着物美人」とともに15日間皆勤の「ワンピース女性」 本人が明かす力士の浴衣地で洋服をつくる理由「同じものは一場所で二度着ることはない」
NEWSポストセブン
イギリス人女性はめげずにキャンペーンを続けている(SNSより)
《100人以上の大学生と寝た》「タダで行為できます」過激投稿のイギリス人女性(25)、今度はフィジーに入国するも強制送還へ 同国・副首相が声明を出す事態に発展
NEWSポストセブン