いよいよクライマックスに突入したNHKの朝ドラ『ブギウギ』で、ヒロイン・スズ子(趣里、33)をすぐそばで一喜一憂しながら支える「山坂コンビ」──。まるで本当の漫才コンビのように息の合ったスズ子のマネージャー・山下を演じる近藤芳正(62)と、村山興業東京支社長・坂口を演じるメッセンジャーの黒田有(54)が、趣里との出会いなどを振り返る。【全3回の第1回】
絶対に態度を変えないぞ
近藤:『ブギウギ』に出演して、義理の母から「コンちゃん、えらいことになってるで」と言われました。僕は3年前に再婚して(東京から)京都に移住して以来、テレビをつければいつも黒田さんが出ていらっしゃるから、京都の妻側の親戚たちが「黒田さんと一緒に朝ドラに出てるなんてすごいな」と言いますよ。関西を代表する芸人さんですから。
黒田:いやいや、畏れ多いですよ(笑)。いぶし銀の役者さんの近藤さんに怒られたらどうしようと思っていましたが、撮影中はいっぱいフォローしていただきました。
近藤:初めてお会いした現場では、お互いに「初めまして」って挨拶したあと、黒田さんは「芝居に慣れてないんで」とおっしゃって。僕は「いやいや、僕も関西弁に慣れていないので」という会話をしたことを覚えています。途中で黒田さんから「関西弁、めっちゃ上手いじゃないですか」と言われて嬉しかった(笑)。
黒田:近藤さんの関西弁のセリフを聞いて“やっぱり役者さんは耳がいいんやな”と思いましたね。役者さんたちにとって関西弁が一番難しい方言だと聞いたことがあったので。その後、近藤さんの奥様が京都の方で今は京都在住と聞いて、なるほどな、と思いました。
近藤:しかも『ブギウギ』のセリフは昔の「船場弁」で、今の関西弁とはちょっと違うから難しかった。家で妻に協力してもらい、イントネーションをチェックしてもらったのですが、「違う、違う」と何度もダメ出しされたので僕も言い返して、初めての夫婦ゲンカが勃発しそうになりました(笑)。
黒田:僕は『ブギウギ』の脚本家の足立紳さんが書いた『六畳間のピアノマン』(2021年、NHK)で、パワハラ上司の役をやったんです。その時に足立さんから「黒田さんみたいなタイプって書きやすいんですよね」と言われたんです。そういうご縁からか、『ブギウギ』のオファーがあった。どうせ“パワハラおじさん”みたいな役だろうなと思って最初の台本をもらったら案の定、ヒロインの恋路を邪魔する役だった。それはそれで一生懸命やらせていただこうと思っていたのですが、途中から味方になったので、“おぉ!”となりましたね。