懸念材料は「小池都知事の国政転出」ファクター
ただ、日銀の金融政策だけで「経済がよくなった」というのでは、政治の成果をアピールしがたい。
「6月には昨秋に決めた所得税・住民税の定額減税が始まる。その恩恵を有権者が実感してくれたところで、“デフレ脱却にこぎつけた”と宣言して解散するのではないか」(同前)
岸田氏にとっては理想的だが、この6月解散シナリオには懸念材料もある。
「小池百合子都知事の国政転出の可能性が最も高まるのはこの時だと思います」と、語るのは自民党関係者だ。この関係者は、小池氏の2期目の任期は7月末までで、6月20日告示・7月7日に都知事選が予定されていることを挙げて続ける。
「この時期に都知事を辞めるといっても2期目の任期はほぼやり遂げたことになり、4月28日の衆院東京15区補選に出馬するのと違って、都政投げ出しの批判が出る可能性はほぼなくなる。その一方、4月の補選後に出てきうる自民党内の“岸田おろし”の状況を見極めて、小池さんは自分が国政自民党に復帰する価値を最大限まで高めて登場することができる」
賃上げ→デフレ脱却で支持率が回復すれば岸田氏は自らに最も有利なかたちで解散戦略を描くことができ、そうなれば小池氏は国政に戻っても自らを高く売るチャンスは少ない。しかし、解散まではできても岸田政権の支持率が回復しなければ、むしろ初の女性の首相に再び名乗りを挙げるよう求める機運も高まるかもしれないというのである。
日本経済が復活するかどうか、歴史の分水嶺ともなりうる今回の春闘は、さまざまな政治家の興亡にとっても分水嶺となるかもしれない。