福島氏が言う。
「厚労省はHPで〈mRNAは数分から数日で分解される〉と説明していますが、接種後少なくとも2週間は血中にとどまったとの論文や接種の3~4か月後に皮膚病変からスパイクたんぱくが検出されたとのデータもある。mRNAが体内に長く残り、体中にスパイクたんぱくが大量生産されると、炎症や血栓、自己免疫反応などを引き起こし、免疫機能が低下します。そのことは多くの論文で摘示されている」
前出・森内氏は「長期体内残留説」について、こう疑義を呈する。
「mRNAが体内でスパイクたんぱくを作り続けるなら何度もワクチンを打つ必要はないはず。どれほど技術が進歩してもmRNAを体内に長く維持するのは難しいというのが科学的見解で長期体内残留の可能性は低い。ただし、国民の不安を払拭するために厚労省は適切な情報公開とこれまでの施策の検証が必要です」
厚労省に副反応についての今後の調査予定やmRNAの「長期体内残留説」について見解を問うと、「薬事承認申請に先立って実施された非臨床薬物動態試験などにおいて、いずれの部位の投与でも時間の経過とともに代謝・排泄されて消失するものと評価されています。副反応が疑われる症状については、厚労省の研究班において2023年2月より調査・研究を行なっており、実態把握に努めています」(健康・生活衛生局感染症対策部予防接種課)と回答した。
間もなく始まる定期接種をどう考えるべきか。森内氏が言う。
「どんな薬も100%安全ではないですが、特に高齢者はデメリットよりもメリットのほうが大きく、2022年に厚労省が発表したデータでは70代の致死率は未接種2.0%に対し、3回接種は0.63%、重症化率は未接種3.83%に対し、3回接種0.95%とリスクに3~4倍の違いが出ます。国立感染症研究所やそのほか世界の研究でも重症化を防ぐ効果があると証明されている。基礎疾患を抱えている人が多いご年配の方などは、接種を検討すべきでしょう」
自分の状況に応じた賢明な判断が必要だ。
※週刊ポスト2024年3月29日号