国内

小林製薬、紅麹サプリ問題で被害を受けた人の治療費などを負担 遺族への慰謝料は1人あたり4000万円から1億円が目安か

記者会見で頭を下げる小林製薬の小林章浩社長(中央)ら=22日午後、大阪市中央区

記者会見で頭を下げる小林製薬の小林章浩社長(中央)ら=22日午後、大阪市中央区

 小林製薬の「紅麹」成分入りサプリメントを摂取した人に健康被害が確認された問題は、4月に入っても拡大し続けている。少なくとも31都府県で健康被害相談が寄せられており、157人が入院。関連が疑われる死者は5人おり(4月2日現在)、さらなる増加も危惧される。

 亡くなった5人には70〜90代の男女が含まれ、そのうち1人は茨城県在住。いずれも同社の「紅麹コレステヘルプ」を摂取しており、腎臓の不調を訴えていた。渋谷内科・スキンケアクリニック院長で日本腎臓学会専門医・医学博士の渡邉智成医師が解説する。

「腎臓は、体内に必要以上にたまってしまった水分や、血液中の老廃物を取り除き、それを尿として排出する働きをしています。その機能が低下して腎不全といった状態に陥ると、命にかかわる合併症につながります」

 その1つが「肺水腫」だ。

「腎機能の低下による症状の1つに、尿量の減少があります。体外に水分が排出されず、体重が増加し、全身に浮腫の症状が出ます。そもそも尿が作られないので、尿意や残尿感もなく、1日に1回もトイレに行かなかったり、行ってもほとんど尿が出ないことが続くこともあります。

 体内の水分量が過剰になると、肺の周辺に水分がたまる状態『肺水腫』を引き起こします。肺が圧迫されて潰れ、息を吸っても肺が膨らまず、体内に酸素を取り入れられず、最終的には呼吸不全に陥ります」(渡邉医師・以下同)

ウーロン茶のような尿が出る

 今回の問題では、持病のない健康な人が、サプリの摂取で体調不良に襲われたケースがある。全身に倦怠感のような症状が現れ、朝、起き上がることすらままならないほどのつらさだったという。

 腎臓には、糸球体という細い血管が束になったような構造がある。そこに流れてきた血液から、老廃物などを絞り出し、最終的には尿として体外に排出する。

「ところが、血液中に『腎毒性物質』が含まれていると、腎臓を通る過程で糸球体や、その先にある尿細管などが障害を起こす可能性があります。今回のケースでは、サプリメントになんらかの腎毒性物質が含まれていた可能性が指摘されています」

 小林製薬の発表によるとその腎毒性物質は「プベルル酸」である可能性があるという。特に気をつけなければならないのが高齢者だ。

「高齢のかたは、若いかたに比べ腎臓の機能が加齢によって衰えています。そのため腎毒性物質によって受けるダメージも大きい。仮に同じ量の腎毒性物質を摂取した場合でも、高齢者の方が腎不全状態に陥りやすい。しかも、心臓の機能も若い人に比べて落ちているので、心不全に陥る危険性もあります」

 腎機能の低下は、ほかの疾病も呼び込んでしまう。

「血液中の老廃物や毒素が排出されず、体内に蓄積することで生じるさまざまな全身症状のことを尿毒症といいます。その中でも注意しなければならないのは、高カリウム血症です。ミネラル成分の1つであるカリウムが、血中からろ過されず過剰に体内にとどまることで起きます」

 高カリウム血症は無症状の場合も多いという。

「吐き気や筋力の低下、手や口のしびれや脱力などの症状が現れて初めて気づくケースもあります。進行速度には個人差がありますが、自覚症状が出るのはかなり進んだ段階。最終的には不整脈を引き起こし、突然死の原因になります」

 では、腎臓の機能低下に早めに気づく手立てはあるのか。

「尿が出ない。または尿は出るものの泡立ちがいつまでも消えない。これは腎機能低下によって、蛋白が尿に含まれていることが原因。そのほか、尿潜血があれば、ウーロン茶のようなかなり濃い色の尿が出る。腎機能の“危険信号”は、尿の変化から気づけることが少なくありません」

関連キーワード

関連記事

トピックス

歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
胴回りにコルセットを巻いて病院に到着した豊川悦司(2024年11月中旬)
《鎮痛剤も効かないほど…》豊川悦司、腰痛悪化で極秘手術 現在は家族のもとでリハビリ生活「愛娘との時間を充実させたい」父親としての思いも
女性セブン
ストリップ界において老舗
【天満ストリップ摘発】「踊り子のことを大事にしてくれた」劇場で踊っていたストリッパーが語る評判 常連客は「大阪万博前のイジメじゃないか」
NEWSポストセブン
紅白初出場のNumber_i
Number_iが紅白出場「去年は見る側だったので」記者会見で見せた笑顔 “経験者”として現場を盛り上げる
女性セブン
弔問を終え、三笠宮邸をあとにされる美智子さま(2024年11月)
《上皇さまと約束の地へ》美智子さま、寝たきり危機から奇跡の再起 胸中にあるのは38年前に成し遂げられなかった「韓国訪問」へのお気持ちか
女性セブン
野外で下着や胸を露出させる動画を投稿している女性(Xより)
《おっpいを出しちゃう女子大生現る》女性インフルエンサーの相次ぐ下着などの露出投稿、意外と難しい“公然わいせつ”の落とし穴
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
結婚を発表した高畑充希 と岡田将生
岡田将生&高畑充希の“猛烈スピード婚”の裏側 松坂桃李&戸田恵梨香を見て結婚願望が強くなった岡田「相手は仕事を理解してくれる同業者がいい」
女性セブン
電撃退団が大きな話題を呼んだ畠山氏。再びSNSで大きな話題に(時事通信社)
《大量の本人グッズをメルカリ出品疑惑》ヤクルト電撃退団の畠山和洋氏に「真相」を直撃「出てますよね、僕じゃないです」なかには中村悠平や内川聖一のサイン入りバットも…
NEWSポストセブン
注目集まる愛子さま着用のブローチ(時事通信フォト)
《愛子さま着用のブローチが完売》ミキモトのジュエリーに宿る「上皇后さまから受け継いだ伝統」
週刊ポスト
イギリス人女性はめげずにキャンペーンを続けている(SNSより)
《100人以上の大学生と寝た》「タダで行為できます」過激投稿のイギリス人女性(25)、今度はフィジーに入国するも強制送還へ 同国・副首相が声明を出す事態に発展
NEWSポストセブン
連日大盛況の九州場所。土俵周りで花を添える観客にも注目が(写真・JMPA)
九州場所「溜席の着物美人」とともに15日間皆勤の「ワンピース女性」 本人が明かす力士の浴衣地で洋服をつくる理由「同じものは一場所で二度着ることはない」
NEWSポストセブン