アンコンシャス・バイアスとは?
〈自分は差別意識とは無縁だと思っている〉という人は多いだろう。
しかし片田氏は、「そういう方ほど心の中にある差別意識に気づけていないことが多い」と語る。
「川勝氏は失言について『生業の違いを言ったもの』と釈明していましたが、本人の認識では本当に差別をしたつもりはなく、悪気はなかったのでしょう。しかし、『アンコンシャス・バイアス』(無意識の思い込みや偏見)という言葉があるように、“差別意識は誰もが無意識に持ちかねないもの”という特性があります。
現在はジェンダーをはじめ様々な価値観が生まれ、誰もが差別意識とは無縁ではいられない。だからこそ『自分にもそういう意識があるかもしれない』と注意するくらいのほうがよいでしょう」
〈他人を褒めることが得意〉と思っている人も要注意だ。
川勝氏は今年3月にも、静岡県磐田市に本拠地を置く女子サッカークラブのメンバーが県庁を訪れた際、「磐田市は浜松市よりもともと文化が高かった」と発言し、物議を醸した。川勝氏の失言では“何かを下げることで他を褒めようとすること”が目立つが、こうした失敗は職場や友人関係の間でも起きがちだという。
「たとえば誰かを褒めようと思った際に、『さすがは××大学! △△大学のあの子とは違う』などと言って他人と比べていないか。ほかにも年収や身長など、相対評価しやすい事柄に言及する時には注意が必要です」
〈よく理不尽なクレームを受ける〉と感じている人も要注意だ。
自分では批判されるような言動を取っていないつもりなのに、抗議を受けてしまうことが多い人もいるだろう。だが、「どうして私が批判されなければならないのか」と感じることが多い人は、自身の言動を振り返ったほうがよさそうだ。
「他人の気持ちを汲み取るのが苦手な人は、批判を受けると、本当は自分が悪い場合でも『私は被害者だ』と思ってしまうことが多い。川勝知事も『メディアハラスメント』という言葉を使っていました。そして辞任の理由を『リニア中央新幹線について開業延期という区切りがついたから』と転嫁したように、自分の落ち度を認めようとせず、ほかに原因探しをするわけです。『理不尽なクレームを受けることが多いな』と感じる方は、自分に本当に非はないのか省みることが重要です」
そのほかのチェック項目は表にまとめた。心当たりのある人は、よくよく注意してほしい。
※週刊ポスト2024年4月26日号