ライフ

『男はつらいよ』の寅さんはテキヤかヤクザか 時代とともに変わってきた暴力団とテキヤの関係

寅さんシリーズ48作目、最後の出演作品となった映画「男はつらいよ・寅次郎紅の花」。神戸市長田区でのロケ風景(時事通信フォト)

寅さんシリーズ48作目、最後の出演作品となった映画「男はつらいよ・寅次郎紅の花」。神戸市長田区でのロケ風景(時事通信フォト)

 警察や軍関係、暴力団組織などの内部事情に詳しい人物、通称・ブラックテリア氏が、『男はつらいよ』シリーズの主人公、フーテンの寅さんこと車寅次郎の仕事であるテキヤについて。

 * * *
 今年も桜前線に合わせるように、桜まつりが開かれた各地では屋台が見られた。テキヤと呼ばれる露天商が出す店は、祭りという賑やかな雰囲気と外という解放感からか、なんでも美味しそうに見えてくるから不思議だ。

 テキヤといえば暴力団だと思い込んでいる一般人はまだ多いようだが、テキヤと暴力団は同じではない。普通に参道や沿道で屋台を出しているようなテキヤは暴力団組員ではない。しかしテキヤの中には昔からテキヤを稼業としてきたテキヤ系暴力団と呼ばれる組織があるのも事実で、テキヤも一家や組を形成し、親分子分の上下関係や代替わり制など暴力団組織に近いこともあり、そこがテキヤと暴力団の違いが分かりにくい要因だろう。

 では国民的人情喜劇『男はつらいよ』シリーズの主人公「フーテンの寅さん」はどちらなのか。先日、テキヤ系暴力団組織の幹部に、特定抗争指定暴力団、山口組系平井一家の話を聞いている最中、話題が寅さんになったのだ。

 平井一家の話から、なぜ寅さんにつながったのか。平井一家がテキヤ系暴力団組織だからだ。愛知県豊橋市や岡崎市などを庭場として11代続いてきた平井一家だが、2023年11月21日、薄葉政嘉総裁は、露天商約30人でつくる愛知県東部街商協同組合から名古屋地裁に訴えを起こされた。組員が同組合に嫌がらせをし、やむを得ず支払ってきたみかじめ料の約2020万円返還を求められたのだ。組員がやったことに対して、暴対法では組のトップに対し「使用者責任」を問うことができる。暴力団側からすれば、一緒に仕事をしてきた昔なじみの身内のような存在に訴えられたようなものである。庭場はヤクザでいうシマ、縄張のことで、テキヤ用語だ。

 テキヤから暴力団が訴えられるという全国的にみても稀有なケースとなった平井一家だが、話題になったのはこれだけではない。2023年7月には総裁が、内縁関係の女性に「ディズニーランドに行きたい」とねだられ、暴力団組員の宿泊を拒否しているホテルに身分を隠して利用して逮捕されるという、ヤクザの組長らしからぬ事件を起こしている。さらに2024年1月には六代目山口組の若頭補佐から降格されるという、こちらも滅多にない珍しい人事が行われた。組の懐事情も芳しくないといわれていたところに降格人事となり、幹部や組員が次々と組を去った。「役職返上して辞めた者、除籍された者、その者の除籍に納得がいかず辞めた者。その他、主だった者はフケたり、サツに走ったり、ほとんど残っていない状態だ」と幹部はいう。

関連記事

トピックス

連ドラの主演を2クール連続で務める松本若菜
【まさに“代打の女神さま”】松本若菜、“別の女優が急きょ降板”で10月ドラマで2クール連続主演 『西園寺さん』も企画段階では違う大物女優が主演の予定だった
女性セブン
史上最速優勝を果たした大の里(時事通信フォト)
【角界の世代交代】史上最速優勝の大の里に包囲網 最大のライバルはたたき上げの平戸海、日体大の同級生だった阿武剋・旭海雄・石崎らにも注目
週刊ポスト
33年ぶりに唐沢寿明が鈴木保奈美と共演する
【地上波ドラマでは『愛という名のもとに』以来33年ぶり】唐沢寿明、2025年1月期で4年ぶり民放連ドラ主演、共演は鈴木保奈美 テレ朝は大きな期待
女性セブン
一時は通常の食事がとれないほどだったという(7月、岐阜市。時事通信フォト)
宮内庁の来年度予算概算要求「医療環境の整備等」が約1.5倍に増額 “大腸ビデオスコープ”への予算計上で再燃する紀子さまの胃腸への不安
女性セブン
事件現場となったアパート
《東大阪・中高生3人誘拐》「事件の夜、女の子の怒鳴り声が」咳止めの市販薬を80錠使用して急性薬物中毒に…逮捕された男のアパートで目撃された“黒髪の女子学生“
NEWSポストセブン
NHKの山内泉アナ
《極秘結婚していたNHK山内泉アナ》ギャップ感あふれるボーイッシュ私服は約9000円のオシャレブランド お相手は慶応同級生…大学時代から培った「ビビットな感性」
NEWSポストセブン
不同意わいせつ容疑で書類送検された山口晋衆院議員(Facebookより)
《不同意わいせつ容疑で書類送検》自民・山口晋議員、エレベーター内キス目撃した20代女性の母親に「ガス会社の社員」を名乗った理由
NEWSポストセブン
長澤まさみ
松本潤、野田秀樹氏の舞台で共演する長澤まさみを“別宅”に招いて打ち上げを開いた夜 私生活では距離があった2人がお互いを高め合う関係に
女性セブン
三田寛子がSNSに載せた初めてのツーショットの真相
《三田寛子の誕生日ツーショット》実は「バースデー当日の写真ではない」疑惑が浮上 中村芝翫は愛人と同棲する家へ直行していた
NEWSポストセブン
妻とみられる女性とともに買い物に出かけていた水原元通訳
《買い出しツーショット》水原一平被告が痩せてロン毛に…購入した「米とビール」にみる現状の生活
NEWSポストセブン
斎藤元彦知事。職場外でも“知事特権”疑惑が(時事通信)
【まるで独裁者】兵庫県・斎藤元彦知事「どこでも仕事すべき」と論じるSNS投稿に映しだされていた「真っ白なGoogleカレンダー」
NEWSポストセブン
再婚発表に賛否両論
東出昌大、再婚の裏側 親しい知人への報告は「発表の直前」 “山暮らしの後輩女優”の1人はSNSで「勝手」と意味深なメッセージ
女性セブン