女ヤクザとなったのは20歳の時

女ヤクザとなったのは20歳の時

 それは,彼女の大好物のシナモノです。普段、あまりサービス精神が旺盛ではない私が、変な同情から大サービスしたことで、彼女は大しくじりをやらかしました。

「おい、サオリ、お前は今日からここで働くようになったぜ。しばらくシャブもお預けだろうから、思いっきり濃い奴を打ってやるよ」と、いつもより濃いシャブを、サオリの腕に打ったのです。

 まあ、ここまでは良かったのですが、しばらくすると、サオリが「ハアハア」と言い出し、呼吸が荒くなりました。「少し、入れすぎたかな」などと思いながら、大して気にも留めず「じゃ、女将さん、サオリをよろしく」と挨拶しつつ、店を後にしました。

──喜ばせるためにシャブを打つという行為はカタギの世界では到底受け入れられませんね。

 そうですね。翌日、女将から(えらい剣幕で)電話があり「ちょっと、西村さん、あの子は何なんですか。昨夜は早々に休ませようとしたら、『戦争だ!、戦争だ!』って、走り回って大騒ぎするんで手が付けられなかったんですよ。あの子は、売りもんになんかなりゃしませんよ。さっさと引き取ってください」と言うではありませんか。

 すぐにサオリ本人からも電話があり、「女将さんから『帰りな』と言われました」と半泣きで言います。私は、こいつまたしくじりやがったと業腹ですから、「てめえ、迎えになんか行かねえぞ。てめえの足で帰って来い。おれに恥をかかすんじゃねえよ」と一喝し、電話を切りました。

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