かつてのイエローキャブのタレントたちは、後に女優として高い評価を受けるタレントも多い。それには野田がタレントを発掘するにあたってのこだわりもある。
「僕のアンテナに引っかかった子の面接は自分でやります。時間は1時間あればじゅうぶん。それで売れるか売れないかはわかった。胸が大きいという理由だけで採用したこともありません。気づいたらそういう子が揃っていた感じです。よく『どこでこんな子見つけてきたの』なんて言われましたが、実は街で僕から声をかけてスカウトした子はいないんです。だって、この顔で声をかけても逃げられちゃうしね(笑)」
イエローキャブが席巻していた時代を経て、徐々に野田の存在感はなりを潜めるようになった印象だ。最近の芸能界について野田はどう思っているのか。
「芸能界で長年生き延びてきて、今年で78歳になりました。近年の芸能は僕の知っている芸能とはあり方が違うように感じていました。芸能の世界がいつの間にか芸人の天下になっていました。今のグラドルや新人の芸能人たちは芸人に圧されていますよね。かつてのイエローキャブのタレントは、テレビのバラエティで芸人を相手に渡り合えました。それは、イエローキャブがどんな時代でも通用する本物の芸能人を作ってきたからやってこれたのです。なんといっても目標はいしだあゆみさんでしたからね」
【プロフィール】野田義治(のだ・よしはる)/1946年生まれ。いしだあゆみらのマネージャーを経て、イエローキャブを設立。1990年代~2000年代には多くのタレントを揃え、芸能界の一大勢力となる。現在はサンズエンタテインメントのプロデューサー。
取材・文/松本祐貴 写真/黒石あみ