それでは、もしヒロスエさんが会見を開いたのなら、何を語るべきか。それは謝罪でも自己の正当化でもなく、自分の気持ちです。10代の頃にデビューし、現在までトップ女優として走り続けながら、3人のお子さんを育てることは並大抵のことではなかったでしょう。今は仕事をしながら子育てをする女性が増えていますから、ヒロスエさんがそのあたりを含めた「スターの重圧」を語ることで、特に女性層に「スターといえども、ヒロスエさんも自分たちと同じ働く母親なんだ、スターだからこその苦労もあるんだ」という共感もしくは共通点のようなものを引きだせたなら、上述した3の条件「トクしていない」をみたすことができると思うのです。
もちろん、会見をしたからといってすぐにヒロスエさん応援ムードに一転するとは思いませんが、ヒロスエさんが何も語らないでいると、不倫をして人の家庭を壊したあげく、何事もなかったように復帰したというイメージが固定化されてしまうのではないでしょうか。「雄弁は銀、沈黙は金」ということわざがありますが、SNSが影響力をもった現代では、黙して語らないことはプラスに働かないと思います。
スターとは人生までも非凡なもの。今回の報道で、改めてヒロスエさんは国民的なスターなんだと確認しました。今後、“ニューヒロスエ”としてどんな姿を見せてくれるのか、今から楽しみです。
◇仁科友里/フリーライター。著書に『間違いだらけの婚活にサヨナラ』(主婦と生活社)。