芸能

《抜擢で真打ち昇進》林家つる子、コロナ禍でYouTubeに挑戦し「揺るがない何かができた」 サービス精神旺盛な初代・林家三平一門の系譜

常に全力笑顔の林家つる子

常に全力笑顔の林家つる子(撮影/田中智久)

 会ったときも、去るときも、編集者とカメラマンと書き手である私の3人の目をそれぞれじっと見て3回、頭を下げる。それも、はち切れんばかりの笑顔とセットで。

 林家つる子は、ひとまず、そんな落語家だ。

「私の母親が、とにかく明るい人で。小さい頃、友だちと遊ぶより母と遊んでいる方が楽しかったんです。そんな母にいつも憧れていて」

 2024年3月、つる子は女性落語家として初めて抜擢で真打ちとなった。抜擢とは年功序列ではなく、その順番を飛び越えて出世することである。そのため通常、入門から16年前後かかるところをつる子は約14年で最高位に到達した。

 約1年前、師匠である林家正蔵から昇進の話を聞いたときのことをつる子はこう振り返る。

「嬉しかったですけど、怖かったです。自分にできるのかな、と。抜擢で真打ちになった方々は人気者ばっかりですから」

 この春、3か月にわたる真打ち披露興行では、つる子の代名詞ともいえる演目『芝浜』『子別れ』『紺屋高尾』を繰り返し披露している。つる子が女性目線の噺に書き換えた人情噺の大ネタだ。落語評論家の広瀬和生が言う。

「落語のネタって男性目線で、男性に都合のいい話が圧倒的に多いんです。なので女性は不利だと言われてきた。これまでも滑稽噺を女性目線の噺に描き直した女性落語家はいたんです。でも、つる子さんは大ネタをあそこまで改作した。しかも古典の世界観を壊さずに。二ツ目になったばかりの頃は張り切ってやってるけど何がしたいのかわからない印象でした。ここにきて、ようやく自分にしかできない落語を見つけましたね」

 今回の抜擢人事に関して、広瀬はこう話す。

「落語界はスターをつくらなければならない。そういう意味では、これほどの人材はいません。顔芸も、ここまでやるかというくらいやったり。とにかく人を楽しませたいというサービス精神の旺盛さは、さすが昭和の爆笑王、初代林家三平の一門という気がします」

関連キーワード

関連記事

トピックス

第1子を出産した真美子さんと大谷(/時事通信フォト)
《母と2人で異国の子育て》真美子さんを支える「幼少期から大好きだったディズニーソング」…セーラームーン並みにテンションがアガる好きな曲「大谷に“布教”したんじゃ?」
NEWSポストセブン
俳優・北村総一朗さん
《今年90歳の『踊る大捜査線』湾岸署署長》俳優・北村総一朗が語った22歳年下夫人への感謝「人生最大の不幸が戦争体験なら、人生最大の幸せは妻と出会ったこと」
NEWSポストセブン
コムズ被告主催のパーティーにはジャスティン・ビーバーも参加していた(Getty Images)
《米セレブの性パーティー“フリーク・オフ”に新展開》“シャスティン・ビーバー被害者説”を関係者が否定、〈まるで40代〉に激変も口を閉ざしていたワケ【ディディ事件】
NEWSポストセブン
漫才賞レース『THE SECOND』で躍動(c)フジテレビ
「お、お、おさむちゃんでーす!」漫才ブームから40年超で再爆発「ザ・ぼんち」の凄さ ノンスタ石田「名前を言っただけで笑いを取れる芸人なんて他にどれだけいます?」
週刊ポスト
違法薬物を所持したとして不動産投資会社「レーサム」の創業者で元会長の田中剛容疑者と職業不詳・奥本美穂容疑者(32)が逮捕された(左・Instagramより)
「よだれを垂らして普通の状態ではなかった」レーサム創業者“薬物漬け性パーティー”が露呈した「緊迫の瞬間」〈田中剛容疑者、奥本美穂容疑者、小西木菜容疑者が逮捕〉
NEWSポストセブン
1泊2日の日程で石川県七尾市と志賀町をご訪問(2025年5月19日、撮影/JMPA)
《1泊2日で石川県へ》愛子さま、被災地ご訪問はパンツルック 「ホワイト」と「ブラック」の使い分けで見せた2つの大人コーデ
NEWSポストセブン
大阪・関西万博で「虫が大量発生」という新たなトラブルが勃発(写真/読者提供)
《万博で「虫」大量発生…正体は》「キャー!」関西万博に響いた若い女性の悲鳴、専門家が解説する「一度羽化したユスリカの早期駆除は現実的でない」
NEWSポストセブン
違法薬物を所持したとして不動産投資会社「レーサム」の創業者で元会長の田中剛容疑者と職業不詳・奥本美穂容疑者(32)が逮捕された(左・Instagramより)
《美女をあてがうスカウトの“恐ろしい手練手管”》有名国立大学に通う小西木菜容疑者(21)が“薬物漬けパーティー”に堕ちるまで〈レーサム創業者・田中剛容疑者、奥本美穂容疑者と逮捕〉
NEWSポストセブン
江夏豊氏が認める歴代阪神の名投手は誰か
江夏豊氏が選出する「歴代阪神の名投手10人」 レジェンドから個性派まで…甲子園のヤジに潰されなかった“なにくそという気概”を持った男たち
週刊ポスト
キャンパスライフを楽しむ悠仁さま(時事通信フォト)
悠仁さま、筑波大学で“バドミントンサークルに加入”情報、100人以上所属の大規模なサークルか 「皇室といえばテニス」のイメージが強いなか「異なる競技を自ら選ばれたそうです」と宮内庁担当記者
週刊ポスト
前田健太と早穂夫人(共同通信社)
《私は帰国することになりました》前田健太投手が米国残留を決断…別居中の元女子アナ妻がインスタで明かしていた「夫婦関係」
NEWSポストセブン
子役としても活躍する長男・崇徳くんとの2ショット(事務所提供)
《山田まりやが明かした別居の真相》「紙切れの契約に縛られず、もっと自由でいられるようになるべき」40代で決断した“円満別居”、始めた「シングルマザー支援事業」
NEWSポストセブン