〈金銭消費賃借契約書〉と大きく掲げられた下に、〈貸主(甲)〉の欄として、中条議員の本名である「下村清」と手書きで署名があり、実印のような印鑑が捺されている。〈借主(乙)〉の欄にはA氏の氏名や肩書きがあり、やはり印鑑が捺されている。甲乙双方ともに手書きによる住所の記入もある。
そのうえで〈甲および乙は、次の通り金銭消費賃借契約を締結した〉と記され、以下のように続いていた。
〈第1条 (賃借)
甲は、乙に対し、令和3年1月22日、金1000万円を貸し渡し、乙はこれを受け取った。
第2条 (利息)
利息配当は年60パーセントとする〉
この利息の部分は「12」と活字で書かれていた部分に取り消し線が引かれ、下に手書きで「60」と記された上でA氏のものと見られる訂正印が捺してあった。
さらに第3条では返済方法として〈乙は、甲に対し、第2条の利息について、令和3年2月末日から令和5年1月末日までの間、2か月に1度、 年間の間、金600万円を、甲の指定する銀行口座に振込む方法、もしくは現金で手渡す方法で支払う。振込手数料は乙の負担とする〉と記されていた。
契約書は基本的にパソコンで作られたとみられるひな型のような体裁だが、署名捺印や住所、貸し付けの年月日や「1000万」という金額、さらに利息の「600万」は手書きで記されていた。金利60%と、手書きで記された「600万」の金利についても計算は合う。
会見の中で中条議員は「女房にも『あんたはすぐに人を信用する』といわれる。でも人間、何かあれば信用しますよ」「昭和の人間だから、どういう人でも信用はします。僕らの時代はそういう時代だったし、僕がそういう性格ですから」と語っている。
演歌界で鳴らした中条議員は“義理人情で貸した”ということなのだろうが、昭和の人間が信用で貸したにしては、ずいぶん専門的な言い回しの契約書に見える。
自身のヒット曲にかけて「うそはないです」と語った中条議員。では、なぜこのような契約書が存在するのか、より詳細な説明責任が求められるだろう。