3月場所は尊富士(25)と大の里(23)という、まだ大銀杏が結えない平幕2人が優勝争いを展開。しかし、5月場所を前に“将来の横綱候補”と期待される2人の先行きが視界不良となっている。
110年ぶりの新入幕優勝を果たした尊富士だが、代償は大きかった。14日目の取組で右足首を負傷。千秋楽は強行出場して賜杯を抱いたが、春巡業は全休となり、5月場所の休場も発表された。
「4月30日の番付発表時は優勝力士恒例の会見にも応じなかった。師匠の伊勢ヶ濱親方(元横綱・旭富士、63)も“簡単には治らない。足首の靭帯が伸びてしまったんだから……”と話していた。それ以外にも、尊富士をめぐる環境変化は不安だらけです」(担当記者)
3月場所後、尊富士が所属する伊勢ヶ濱部屋には、弟子の暴力問題で閉鎖となった宮城野部屋の親方、力士が転籍してきた。それにより、複雑な問題を抱えているという。
指導を素直に聞けない
転籍で伊勢ヶ濱部屋の部屋付き親方として再出発となったのが元横綱・白鵬の宮城野親方(39)だ。
「部屋の力士によれば白鵬は毎日、稽古まわしを締めて稽古場に立っているという。横綱から序ノ口まで力士約40人の大所帯で稽古をつけているという話だが、合流して以降、稽古取材はNGで報道陣シャットアウトが続いていた。部屋の中の様子がわからない状況だったが、尊富士は満足な稽古ができていないと伝わってきている」(同前)
問題は宮城野親方と伊勢ヶ濱部屋所属の横綱・照ノ富士(32)の関係が最悪と言えることだ。モンゴル出身の先輩後輩だが、2017年の鳥取事件【*】以来、犬猿の仲となった。
【*鳥取事件/2017年10月、鳥取市内で開かれたモンゴル出身力士が中心の酒席で、白鵬、日馬富士、鶴竜の3横綱が、同郷の後輩である照ノ富士、貴ノ岩らを叱責。貴ノ岩を殴打したことが問題化し、日馬富士が廃業した】
「今回の転籍にも照ノ富士は猛反対だったといい、白鵬が部屋付き親方でいる間は引退しないとの意思も示しているという。現状は照ノ富士が現役横綱だから、協会内の扱いは部屋付き親方の白鵬より上だが、引退すれば後輩親方になってしまう。意地でも引退しないでしょう」(ベテラン記者)