“カイロ大学卒業”という経歴について、詐称疑惑が報じられている東京都の小池百合子知事。果たして真相はどうなのか──。この問題について、『女性セブン』の名物ライター“オバ記者”こと野原広子が綴る。
* * *
やけに派手な化粧に魔法使いのような格好をした女性が、古い貸しビルにあった編集部に現れたの。私は茨城から上京してきて3年目の21才。車の雑誌を発行している出版社でアルバイトを始めたばかりで、彼女は誰かの紹介でグラフィックデザイナーとしてやってきたわけ。彼女が帰ると、「とまぁ、そういうフレコミだ」と大正生まれの老編集長はニヤリ。
彼女は有名美大を卒業して、つい先日まで大きな企業の広報課でグラフィックデザイナーとして働いていたという。それを老編集長は“眉唾”と感じ、「フレコミ」と言ったんだよね。
おそらく、『文藝春秋』で「学歴詐称疑惑」を報じられた小池百合子都知事(71才)も、45年前にテレビ局にアシスタントキャスターとして採用されたとき、「カイロ大学卒」というフレコミをしたんじゃないかしら。
というのも、その頃の彼女の履歴を見返してみると、“雑”なんだよね。あるところでは「カイロアメリカン大学」と書かれていたり、別のところでは「カイロ大学」だったり。著書では「1年留年した」と書いているのに、それが経歴から消えている。もし咎められても「うふふ」と笑えばいい。「選挙戦もハイヒールとミニスカートで通します」と言って、ピタピタのミニから伸びる自慢の足を見せればOK。そんなことがまかり通った時代だったのよ。いまにして思えば、まさに不適切にもほどがあった時代のことで、令和のいまは許されない。学歴詐称の告発を、本人は「とても残念に思います」と人ごとのように言っているけれど、それで済むわけがない、と私は断言しちゃう。
実は私、ガチで外国の大学で学んだ人を知っているんだよね。ポルトガル史の研究をしていたN子さんで、彼女の家に遊びに行って何が驚いたって、本棚に並ぶ外国語辞典の数なの。聞いたら63冊あるという。内訳は、ポ—日、ポ—英、英—ポ、ポ—仏、仏—英、日—仏etc. ──加えて、ラテン語に中世の辞書。彼女いわく、「資料を読むために、自分が知る限りの言語の辞書を一日中、しらみつぶしに引く」と。