この施術は手術時間が短く、早期にリハビリテーションに入れるので、入院期間を短縮できるメリットもある。
また近年では骨粗鬆症の脊椎に留置したインプラントが緩まないように、横穴のあるスクリュー越しにセメントを注入してインプラントと骨の間を足場で固定させる治療法も開発された。その他、椎間板が潰れるなど激しい変形がある症例には側方進入椎間板固定術(LIF)が行なわれるようになっている。
「LIFは脇腹からアプローチすることで神経や骨、筋肉に邪魔されず、より大きなケージの設置が可能です。従来は変形した椎間板を取り除いた空間に後方からアプローチしていたため、大きなケージは挿入できませんでした。それがLIF手術の開発により、神経モニタリングで神経の損傷を避け、最小限のダメージにとどめながら大きなケージの設置が短時間で可能になっただけでなく、矯正力や安定性も向上しています」(篠原副センター長)
LIFは特別な研修を受けた医師が、条件を満たした医療機関でしか実施できない手技だが、他にも手術や治療の選択肢はある。腰の痛みは苦痛でしかないが、担当医との入念な話し合いで、自分に合う最適な治療法を探し求め、平穏な毎日を取り戻したい。
取材・構成/岩城レイ子
※週刊ポスト2024年5月17・24日号
※本記事は、「ケージ」に関する編集部作成の注記に誤りがあったため、2024年5月20日に修正いたしました。