山下智久(39才)主演で注目を集める連続ドラマ『ブルーモーメント』(フジテレビ系)。同名の漫画をドラマ化。さまざまな気象災害に立ち向かいながら「救命」を行う設定などから、同じく山下主演の『コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』(同)との共通点を指摘する声も多い。果たして「似ている」のは確信犯か偶然か。コラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんが解説する。
* * *
今春ドラマの中でも「ロケ映像のスケールではダントツ」と言われる『ブルーモーメント』。
同作は山下智久さんが主演を務めること、「ブルー」というフレーズ、「命を救う」というストーリーなどの共通点があるため、放送前から良くも悪くも「『コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』と似ている」と言われていました。
はたして『ブルーモーメント』と『コード・ブルー』は本当に似ているのか。確信犯なのか、それとも偶然なのか。その背景を掘り下げていくと、同作の強みや魅力が見えてきます。
「チームドラマ」を脚色した意味
『ブルーモーメント』は、気象庁気象研究所の研究官・晴原柑九朗(山下智久)が気象災害から人命を守る精鋭部隊・SDM(特別災害対策本部)の気象班チーフに任命され、命がけで救命に立ち向かう姿を描いた物語。
第1・2話で雪崩による遭難、第3話で強風注意報が出た中での大規模火災、第4話で台風や竜巻の被害が描かれるように、同作の醍醐味は、気象災害の緊張感をベースに、主人公の「目の前の命を救いたい」という強い思い、人命救助による感動の3つ。これらは『コード・ブルー』との共通点であり、違いは「気象災害に限定している」ことのみでしょう。
また、第1話では、主人公たちが消防ヘリから出動するシーンがありましたが、この演出はドクターヘリで出動する『コード・ブルー』と似ていました。ただ、『ブルーモーメント』は気象庁、国土交通省、東京消防庁の全面バックアップを取り付け、撮影協力や資料などの提供を受けています。実際、劇中のSDM指揮車両「特別災害対策本部車」は国土交通省で使われている車両であり、第3話で消防士たちが一斉放水したシーンの迫力なども含め、映像のスケール感では上回るものがありました。
そしてもう1つ、『コード・ブルー』と似ていると言われる理由は、“チームドラマ”であること。『コード・ブルー』は、単に主人公医師の物語ではなく、多くの医師に加えてヘリの操縦士や消防などを含めたチームで命を救う物語でした。
その点、『ブルーモーメント』は主人公の晴原だけでなく、消防班チーフ・園部優吾(水上恒司)、ドライバー兼料理人・丸山ひかる(仁村紗和)、情報班チーフ・山形広暉(岡部大)、医師・汐見早霧(夏帆)などを含めたチームドラマ。気象、消防、医療、警察、自衛隊などを含めた大きなチームであり、しかもこれは原作漫画から脚色したところだけに、「制作サイドがあえて似た形にした」ということでしょう。
「ヒットの王道」は大衆のニーズ
「ブルー」がつくタイトルはたまたまかぶっただけでしょうが、前述したコンセプトが似ているのは、「ヒットの王道パターンだから」という見方もできます。
『コード・ブルー』は2008年、2010年、2017年の3度にわたって連ドラ化されたほか、2018年には劇場版が公開され、同年トップとなる興行収入93億円を記録する大ヒット作になりました。