つまり、『コード・ブルー』のコンセプトは、より多くの人々が求めるヒットの王道であり、昭和の時代からある「ストレートに感動したい」という大衆的なニーズに応えるもの。少し違うものにたとえると、今春18年ぶりに復活した『新プロジェクトX~挑戦者たち~』(NHK総合)も似たコンセプトと言っていいかもしれません。その意味で、「国民的なヒット作と似ている」と言われることは、ゴールデン・プライム帯で放送される番組にとって、むしろいいことではないでしょうか。
それでも『ブルーモーメント』には、『コード・ブルー』にはないさまざまな見どころがあります。
その最たるところは、「晴原の元婚約者で気象研究官だった園部灯(本田翼)の死」をめぐるミステリー。各話の救命エピソードに加えて、全話を貫くテーマとしての魅力が加えられています。
また、それまで転職を繰り返していた助手・雲田彩(出口夏希)が第3話で「気象予報士を目指す」と宣言しましたが、彼女の成長を追う物語の要素も十分。『コード・ブルー』も当初はフェロー(若手医師)の物語であり、第3シリーズでは新たなフェローも登場しましたが、雲田の「気象の素人」からのスタートは、より成長物語としての振り幅が感じられます。
さらに『ブルーモーメント』は気象、気象災害、防災などの知識を全面に織り交ぜることで学びを得られること、今年デビュー40周年を迎えたボン・ジョヴィの主題歌『レジェンダリー』も魅力の1つ。全ての面でスケールの大きさを意識して制作されていることから、「日本だけでなく海外の人々にも見てほしい」という思いを感じさせられます。
【木村隆志】
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者。雑誌やウェブに月30本前後のコラムを提供するほか、『週刊フジテレビ批評』『どーも、NHK』などの批評番組に出演し、番組への情報提供も行っている。タレント専門インタビュアーや人間関係コンサルタントとしても活動。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』など。