岸田首相の総理就任を祝う会(2022年)も企画・準備段階から運営まで岸田事務所が中心になって開催しながら、現後援会長が代表を務める「衆議院議員岸田文雄先生 内閣総理大臣就任を祝う会」なる任意団体が主催したことにして収益の一部である約322万円だけを政党支部に寄附させていた。
結果、パーティーの収入総額や収支、購入者名、寄附額との差額を何に使ったかも政治資金収支報告書に記載されず、“闇の中”になった。しかも、現後援会長は本誌の取材に、「祝う会の代表になったことはないし、寄附した覚えもない」と証言。任意団体は岸田事務所がでっちあげた“ダミー団体”であり、代表者は名義だけ拝借し、政党支部への寄附まで岸田事務所の自作自演だった疑いが濃厚だ。
本誌は改めて外相就任を祝う会の収益約382万円を寄附した主催団体の代表とされている元岸田後援会長A氏の自宅を訪ねたが、本人は亡くなっており、遺族は取材に応じなかった。
外相就任を祝う会でも全く同じ手法
ただ、現地取材ではある重大な証言を得た。外相就任を祝う会に出席した広島の元地方議員が語る。
「政治資金パーティーの案内状などには、政治資金規正法22条の8に基づくパーティーであると記載しなければならないが、岸田さんの外相就任を祝う会の案内状にはそうした記載がなかった。
おかしいなと思って案内状が届いた数日後、岸田事務所のB秘書に電話で『記載がないけど、どうやって会計処理するんですか』と確認したんです。そうしたらB秘書は事前に調べていたようで、『集まったお金から必要経費を差し引いて、残ったお金は寄附する』と即答しました。政治団体の主催にしないのであれば、政治資金収支報告書は出さなくていい。その後の総理大臣就任を祝う会も同じで、このやり方ならば、政治資金規正法を厳しくしても意味がない」
この証言からは、岸田事務所が最初から政治資金集めを目的に外相就任を祝う会を開催しながら、案内状には「政治資金規正法に基づく政治資金パーティー」だという表示をしないで任意団体主催の形を取り、意図的に政治資金規正法逃れをしていたことがうかがえる。