調教師として多くの馬たちに接する蛯名氏
同様に人気の一角になりそうなエピファネイア産駒も昨年は出走馬がありませんでした。2017年生まれの初年度産駒デアリングタクトが2020年の三冠牝馬となり、翌年に生まれたエフフォーリアも活躍したことで種付け数が増えていきました。エピファネイアの父シンボリクリスエスはダービーこそ2着でしたが、その後はGIを4勝もしています。
そういった意味で初年度産駒から活躍馬を出したドゥラメンテの早世は残念ですが、やはり今回勝てば祖父キングカメハメハから3代続いてのダービー馬ということになりますね。
競馬は血統を知ることでより奥深さを感じることができます。毎年様々な活躍馬の産駒がデビューしますが、種牡馬にもサイクルやトレンドがあるということを知っておくといいかもしれません。
残念ながら僕の厩舎からの出走はありませんが、やはりダービーは特別。いつかは勝ちたいレースということもあるので、自分なりにどの馬が強いだろうかなどと考えるし、レースはじっくり観戦します。そして来年こそこの舞台で愛馬を走らせたいという思いを膨らませます。
【プロフィール】
蛯名正義(えびな・まさよし)/1987年の騎手デビューから34年間でJRA重賞はGI26勝を含む129勝、通算2541勝。エルコンドルパサーとナカヤマフェスタでフランス凱旋門賞2着など海外でも活躍、2010年にはアパパネで牝馬三冠も達成した。2021年2月で騎手を引退、2022年3月に52歳の新人調教師として再スタートした。この連載をベースにした小学館新書『調教師になったトップ・ジョッキー~2500勝騎手がたどりついた「競馬の真実」』が発売中。
※週刊ポスト2024年5月31日号