この春スタートしたNHKドラマ2作に出演している、元乃木坂46の伊藤万理華(28才)の注目度がぐんぐん上昇している。放送中のNHK総合のドラマ2つに“同時出演”するのは異例だ。伊藤が重用される理由とは? コラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんが解説する。
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このところ、朝ドラ『虎に翼』(NHK総合)で男装姿の山田よねを演じる土居志央梨さん、『ブルーモーメント』(フジテレビ系)で天才肌の主人公に食らいつく助手・雲田彩を演じる出口夏希さんなど、「注目度急上昇の女優」という切り口での記事が目立ちますが、業界内で今春、注目を集めているのが伊藤万理華さん。
5月11日に伊藤さんの主演ドラマ『パーセント』(NHK総合、土曜22時)がスタートしました。同作は念願のドラマ制作に携われることになった若手プロデューサー・吉澤未来(伊藤万理華)が上司から「障害者を主人公にする」という方針を突きつけられ、戸惑いながらも奮闘する姿を描いた物語。
イギリス・BBCの「出演機会を増やすために出演者の○%にマイノリティを起用する」という方針を踏襲するコンセプトの物語であり、NHKが「“多様性”にしっかり向き合えているか?」と自問自答するようなテーマの作品です。
特筆すべきは、ドラマ初出演で劇中ドラマの主人公・宮島ハルを演じる和合由依さんを筆頭に、障害のある俳優が多数出演していること。伊藤さんにとっては「ふだんの撮影現場とは異なる難しい仕事」ということがわかるのではないでしょうか。
全身全霊で役に向き合い続ける凄み
さらに伊藤さんは4月30日スタートの『燕は戻ってこない』(NHK総合、火曜22時)にも主要キャストとして出演しています。
同作は“代理出産”がテーマの作品であり、伊藤さんが演じるのは、主人公の同僚で医療事務員ながら風俗の仕事も行い、タイ人のヒモに貢ぐ・河辺照代。奨学金の返済に苦しむなど極貧の日々を送っているほか、主人公に生殖医療エージェントでのアルバイトを持ちかける重要な役です。
『パーセント』は「障害者の起用」や「多様性の尊重」、『燕は戻ってこない』は「代理出産」や「性と貧困」という難しいテーマの作品である上に、「NHK総合の連ドラに同じ俳優が主要キャラでダブル出演」するのは稀。伊藤さんは元乃木坂46のアイドル出身で現在28歳の若手ながら高い評価がうかがえます。
では伊藤さんのどこが評価されているのでしょうか。