観光客が残したプラスチックカップを食べようとするシカ(イメージ、時事通信フォト)
横暴で出鱈目な日本人の存在
多くの外国人観光客が押し寄せ、街がゴミだらけになっているなどとSNS上で指摘される屈指の観光地・京都でも、やはり街を汚しているのは日本人で、外国人がそれを真似しているという声が聞かれる。
「最初は外国の方が、日本のマナーを守らない、ゴミを散らかすと思い込んでいました。確かに外国人観光客の数は年々増え続け、これ以上受け入れると、京都市民はバスにも乗れない、移動もできない。さらに外国人観光客向けに、割高なメニューを提供するお店も増えて、地元の人が利用できなくなるなどの問題は起きてます。でも、よくよく観察すると、大騒ぎしたり、ゴミをポイ捨てしたり置き去りにしていくのは、ほとんどが日本人。ゴミだらけの様子を、外国の方がニコニコしながら撮影しているし、そのあと、自身が飲んでいたコーヒーのプラ容器を置き去りにしていくんです」
筆者の取材にこう訴えるのは、京都市内にある寿司店の女将・増田祥子さん(仮名・50代)。ゴミを置き去りにする外国人に、勇気を持って声をかけたというが、その反応は意外なものだったと振り返る。
「ゴミは持ち帰って、というと、急にスイマセンとカタコトの日本語で謝られました。日本人がそうやっているから問題ないと思ったそうです。京都は綺麗な街だから汚すつもりはなかったが、そこはゴミ捨て場だと思った、ともいうんです。マナーの悪い日本人を見て”そういうものだ”と感じられたんでしょう。返す言葉がありませんでしたね」(増田さん)
六本木で長らく割烹料理店を営む真田勝さん(仮名・60代)も、横暴な振る舞いをする外国人観光客が存在するのは、さらに横暴で出鱈目な日本人がいるからだと語気を強める。
「日本人はさ、特に酔っていたりすると、外国人の前で強がったりするんだよ。路上での喫煙や飲酒もそう。外国人にナメられたくない、横暴に振る舞ったりワルっぽくして、相手をビビらせてやるとでも思っているのか(笑)。何十年も前からそうだったけど、最近は拍車がかかっている感じかな。でも外国人の方は、日本人はバカで面白い、俺も真似するかとなる。でも、そういう外国人観光客でも、ウチの店に来ると他の日本人同様マナーを守るし、問題は起こさない。ダメな外国人観光客がいるのは、そこにダメな日本人がいるからだと断言するね」(真田さん)
何かネガティブなことがあると、その原因を内に見出そうとせず、外的要因を疑うのは人間の性なのか。「オーバーツーリズム」を問題視する日本メディア、市民が多い中、実はその問題の根源に、日本人の横柄な立ち振る舞いが横たわっているとしたら、これほど恥ずかしいことはない。