4月の訪日外国人観光客数は前年同月比で56.1%増の304万2,900人となり、2か月連続で300万人を突破。2023年の累計が1160万1,200人となり、1000万人を超えたことが話題となっている(日本政府観光局調べ)。それとともに地元住民の生活や環境などへの受忍限度を超える多すぎる観光客の到来、オーバーツーリズム(観光公害)が問題視されるようになってきた。主に訪日外国人観光客によって起きていると言われるオーバーツーリズムだが、すべてがそうとも言えないらしい。ライターの宮添優氏が、オーバーツーリズムの現場の声をレポートする。
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空前の円安という後押しもあり、日本各地の観光地に外国人観光客が押し寄せている。
当初は「爆買い」をしてくれる外国人観光客の存在をありがたがり、あらゆる手を使って呼び込もうと腐心する日本人の姿をあちこちで見かけたが、あまりに多すぎる外国人観光客は、今では「オーバーツーリズム」の名の下に敬遠され始めているという。取材した民放情報番組ディレクターが説明する。
「最近では、コンビニ越しに富士山を望めるスポットに、あまりに多くの観光客が押し寄せ、騒音やゴミ問題が発生するだけでなく、付近の交通が妨げられ事故が起きるような事態になりました。横断歩道も信号もない場所での道路横断が横行するのを防ごうと、地元自治体はコンビニと対面する側の歩道に黒い幕を張って富士山が見えなくなるようにしました。他にも、東京の渋谷や六本木、京都などの日本を代表する繁華街や観光地でも、多すぎる観光客のために公共交通機関に乗れなかったり、ゴミ問題などに頭を抱えています」(情報番組ディレクター)
受け入れ可能な人数を超えた観光客の到来、オーバーツーリズムに起因するとされる様々な諸問題は、テレビや新聞で報じられる度に、その映像や写真に必ずと言っていいほど陽気に楽しむ外国人観光客の姿が映し出される。視聴者としては、迷惑な外国人観光客が押し寄せ、ゴミを散らかすなど好き放題に振る舞っている、と感じざるを得ないだろう。ところがこのディレクターは、取材の中である違和感を覚えたと打ち明ける。
「取材し出来上がったVTRは、外国人観光客の観光地での振る舞いにスポットを当てたものでした。ですが、例えば京都の観光地や東京の繁華街をチェックしていくと、酔っ払って歩いたり、ゴミを散らかすのはほとんどが日本人。外国人はそれを嬉しそうに見て、同じように路上で酒を飲んだり、タバコを吸ってみたりと行動をなぞっている。もちろん、そういった外国人観光客は少数なのですが、どうも、訪れた先で見かけた日本人の姿に影響されている、真似しているとしか思えないんです」(情報番組ディレクター)