初土俵から所要7場所で史上最速となる初優勝を果たした新小結の大の里(23)。新三役での優勝は1957年5月場所の安念山(後に羽黒山に改名=元立浪親方)以来、67年ぶりの快挙だった。その将来には大きな期待が集まる一方で、「超スピード出世」に不安要素はないのだろうか。相撲ジャーナリストはこう話す。
「安念山は今回と同じ5月場所で初日に横綱・栃錦を倒し、新小結として13勝2敗をあげた。しかも、大の里と同じ23歳での優勝だった。当然ながら大関昇進を期待されたが、翌場所は9勝どまりで、翌々場所は6勝9敗で負け越し。関脇を通算14場所務めたが大関に昇進できなかった。栃錦には8回勝ち(16敗)、若乃花にも6回白星をあげている(21敗)のに、大鵬に0勝21敗と全く勝てなかったのが響いた」
来場所以降の大の里を待つのも決して楽な道のりではないはずだが、今場所は日大出身の唯一の学士横綱・輪島が持っていた初土俵から所要15場所というスピード初優勝記録を大きく更新した。
これで新入幕から3場所連続2ケタ勝利(11勝、11勝、12勝)となった大の里。千秋楽のあと、来場所で連覇やそれに準ずる成績を残した場合の大関昇進について問われた高田川審判部長(元関脇・安芸乃島)は「何が起きるかわからない」と含みを持たせた。