麺のやわらかさや弾力性を保つために使われるかん水には発がん性が疑われてい(写真/PIXTA)

麺に使われるかん水は発がん性が疑われている(写真/PIXTA)

売れ残りが長持ち食品に

「長持ち」を追及した結果、弊害が生じているのは調理済みの食品に留まらない。生の野菜や果物といった新鮮なはずの食品にも注意が必要だ。特に懸念すべきはレモンやオレンジなど海外から輸入される柑橘類だ。果物は収穫後、日を追うごとに鮮度が落ちていくが、スーパーでうず高く積まれたそれらの果物は船で長い時間をかけて運ばれてきたとは思えないみずみずしさを保っている。

「船舶での長期間の輸送に備え、表面に付着したカビの繁殖を防ぐために防カビ剤が塗られているものが多い。しかし、この防カビ剤は発がん性が指摘されており、国内産の農作物には使用が禁じられているうえ、日本に防カビ剤を塗った果物を輸出している諸外国も自国では使っていない。

 皮に染み込むと洗っても落とすことが難しく、10%ほどしか除去できなかったという実験データもあります」(垣田さん)

 中戸川さんが懸念するのはパッケージングされた「カット野菜」の弊害だ。台所で切って野菜室で保存するキャベツやにんじんは黒ずんだりしなびたりする半面、袋に入ったカット野菜は長く鮮度を保っている。

「カット野菜はシャキシャキした食感を保ったまま長持ちさせるために、病原性大腸菌を除去すべく丹念に洗浄されていますが、その工程で大切な栄養素であるミネラルも一緒に洗い落とされ、栄養素が大幅に欠如している。つまり体のためを思ってカット野菜を食べても、期待した健康効果を得ることは難しい。

 ブロッコリーやかぼちゃなどを使った冷凍野菜も同様です。多くの商品は洗浄された後、下ゆでもされており、その過程で大幅に栄養素が溶け出して、失われます」(中戸川さん) 

“売り手ファースト”のカラクリによって、本来であればとっくに消費期限が切れているはずの生鮮食品が「長持ち食品」として用いられているケースもある。

「スーパーで売られているカットフルーツの中には、売れ残った果物を傷んだ部分だけ切り落として使っているものもある。

 売れ残りの食材を使っていても、手を加えることでその日が“製造日”とカウントされるため、表示を見ても使用されている食品の本当の鮮度を知ることはできません。魚や肉なども、最初は刺し身や生肉として販売されていた余った食品を焼いたり揚げたりして総菜として“再利用”するというのはよくある話です」(垣田さん)

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