安定、回帰、ゆるさ…狙いはさまざま
ここまであげてきた民放主要4局の土日戦略を要約すると、いち早く戦略を固めたのがテレビ朝日の「知的好奇心」で、次にフジテレビが「笑い」で一本化。さらにTBSの「グルメ」は今春の新番組で完成したという感があります。
そして今春、思い切って変えた日本テレビは「各ジャンルや各テーマのトップ番組をそろえる」という戦略を採用。ほぼ1つのテーマに絞る他局の逆を行くように、あえてジャンルやテーマの異なる番組をそろえるという戦略への変更に驚かされます。
では、それぞれどんな狙いがあり、どんな未来が予想されるのか。
まずテレビ朝日の“知的好奇心”は、全体の視聴率獲得を第一に考えた戦略。安定した数字が期待できる一方、「視聴者の中心は高齢層に偏りやすく、スポンサー収入に結びつきにくい」という課題は棚上げにされたままで、危うさを感じさせられます。
次にフジテレビの“笑い”は、1980年代から続く同局の強みであり、原点回帰の戦略。千鳥の冠番組を日曜に2つ編成して一定の成果が出ているほか、『新しいカギ』の学校系企画が学生層やファミリー層の人気を得ています。同局としては、土日の“笑い”を平日にも広げることでかつての勢いを取り戻していきたいところでしょう。
TBSの“グルメ”は昭和時代からテレビ業界の鉄板ジャンルでしたが、他局は平日夜や土日昼に放送される番組が多いだけに、土日の編成はそのスキを突くような印象。より多くの人々に見てもらえるチャンスがある土日は密度の濃い番組が多いだけに、気楽に見られるグルメ番組のゆるいムードは際立っている感があります。