ちあきが神奈川に持つアパートは、夫(右)が経営していた喫茶店の屋号と同じ名前。いまもふたりはつながっている
かつて、古賀氏はちあきにどの曲がいちばん好きなのかと尋ねたことがある。即座に返ってきた答えは「悲しい歌」だった。
「ポルトガルのファド(民族歌謡)のような、やりきれないほど暗い歌が好きだと言っていました。自分の歌の中でいえば『霧笛』で感情が揺さぶられるほどだったといいます。ちあきさんの作品はほとんどが悲しい歌ですが、それは本人が悲しみを持っているから。そうでなければ人の心を動かすような歌は歌えないと思います」(古賀氏)
活動休止後、ちあきは周囲に「自然に忘れられたい」と語り、引退を示唆したこともあったという。だが、最近になって心境に大きな変化があったようだ。東元氏が続ける。
「彼女は何があっても自分の歌を大事にし続けてきました。いまも本人の世界から音楽はまったく消えてないんです。何年休んでいたとかは関係なく、本人がやりたい気になればやればいい。仕組まれたり、不自然なことは嫌う人ですが、自然な流れでできるなら、ぼくはやると思いますよ。コンディションを最高にして然るべきときにタイミングさえ合えば(活動再開の)可能性はまだまだあると思います」
伝説の歌姫がステージで再び“喝采”を浴びる日が来るかもしれない。
(了。前編から読む)
※女性セブン2024年6月13日号