札幌市の繁華街ススキノのホテルで2023年7月、男性会社員(62=当時)が殺害され、頭部を切断されたとする事件で起訴された親子3人のうち、死体遺棄ほう助と死体損壊ほう助の罪に問われた母親の無職・田村浩子被告(61)の初公判が6月4日に札幌地裁(渡辺史朗裁判長)で開かれた。
被害者を殺害した疑いが持たれている娘の田村瑠奈被告(30)は殺人と死体損壊罪で、父親の精神科医・田村修被告(60)は殺人ほう助罪などで起訴された。ふたりは裁判員裁判対象事件となっており、公判開始時期は未定だが、裁判員裁判ではない浩子被告の公判が先んじて行われる形となった。
初公判では瑠奈被告が父の修被告のことを「ドライバーさん」と呼び、両親を“奴隷扱い”していたこと、両親は娘のことを「お嬢さん」と呼んで機嫌を取り何でも言うことを聞いていたことなど、異様な家庭環境が明かされた。
父親に告げた「避妊なしの行為」
検察側冒頭陳述では、瑠奈被告と被害者男性の出会いについても言及された。
2023年5月。瑠奈被告は「ドライバーさん」修被告に車を運転させ、クラブイベントを訪れた。そこで被害者男性と出会った瑠奈被告は、抱き合ったり、キスしたりしていたという。2人は意気投合。
「(被害者男性と)2人でカラオケに行く」と父親に告げた瑠奈被告は、実際には被害者男性とホテルへ向かった。ここで被害者への“恨み”につながる出来事が起きたようだ。裁判を傍聴したジャーナリストの高橋ユキ氏が語る。
「被害者男性が避妊しなかったというのです。瑠奈被告は、ホテルを出て修被告と合流し、避妊具をつけないまま行為をされたことを伝えました。瑠奈被告は被害者に対し憤慨しており、妊娠のリスクなどを修被告に訴えたことから、修被告が運転してレディースクリニックに行きアフターピルを処方してもらったことが明らかにされました」
その後、瑠奈被告は、被害者を殺害しようと複数のナイフや手錠などを購入。検察側主張によると瑠奈被告は「絶対仕返しする。殺してやりたい」などと言っていたが、両親は止めなかったという。