毎月約1億円、年間約12億円もの税金の使途が“ブラックボックス”になっている──それが「官房機密費」だ。国会で「政治とカネ」の改革を掲げて必死にアピールする岸田文雄・首相も、そこには決して手をつけようとしない。
このままでは、次の総選挙で機密費が好き放題に使われかねない。そこで本誌・週刊ポストは、官房機密費に触れたことがある人物たちに総力取材。総理や官房長官を支え、機密費の管理や使い方について詳しく知る立場にあった“裏方”たちに話を聞いた。
小泉内閣時代には、小泉純一郎・首相の北朝鮮訪問に関してかなりの官房機密費が使われたのではないかと言われていた。小泉内閣の総理首席秘書官として北朝鮮外交にも深く関わった飯島勲氏(現・内閣官房参与)が語る。
「官房機密費は官房長官が扱うもので、総理秘書官の管轄ではない。私の場合は、官房長官から気に入られてなかったのかどうかしらないが、機密費をもらったことも見たこともありません。海外出張の時は大使館が食事をアテンドしてくれると言われるが、私は自分のクレジットカードで払っていました。
訪朝に関して政府からお金をもらったのは、2回目の訪問の時に4500円支給されただけ。それも機密費ではなく、公務員の出張手当でした。小泉純一郎は自民党で派閥の後押しなしで総理総裁になった人物。だから総裁選でも機密費など使っていません」