警察や軍関係、暴力団組織などの内部事情に詳しい人物、通称・ブラックテリア氏が、関係者の証言から得た驚くべき真実を明かすシリーズ。今回は、最近相次ぐ発砲事件で使用された拳銃を向けられるという体験について。
* * *
今年に入り、発砲事件が相次いでいる。4月1日、大阪市東淀川区で銃で撃たれたとみられる男性が、両足を骨折し足から血を流しているのが見つかった。5月29日には埼玉県川口市でタクシー運転手が、乗っていた男に拳銃のようなもので腹を撃たれ、全治1か月の大けがをした。犯人は逃走したが、近くに住む68歳の職業不詳の男が公開手配された。
「昔は銃撃があったと聞けばすぐにどこの組がやったのかと思ったが、今はヤクザでなくても拳銃が手に入るから物騒だ」と、関西を拠点に活動する暴力団の古参幹部は話す。「ヤクザでは、拳銃を撃つのも撃たれるのも運や巡り合わせが関係する」と彼はいうが、拳銃を向けられたその時、ヤクザたちはどう反応するのだろうか。
「拳銃を向けられたら誰だって怖い」という古参幹部は、銃撃の経験がある。「抗争相手の事務所のシャッターだがね。シャッターや窓でも射撃の練習をしないと当たらないものだから、人に当てるのは簡単じゃない。至近距離でないとまず、当たらないね。Vシネのヤクザ映画みたいにバンバン撃てば、バシバシ当たるなんていうのは嘘だ。俺が渡されたのは密輸されたトカレフだったと思う。事務所に撃ち込みに行っただけで、人に向けて撃ったことはない。撃たれたこともない。ラッキーなことだよ」という古参幹部と違い、暴力団を引退し右翼団体を長らく率いていたという元会長は、銃口を真っすぐに向けられたことがあるという。
「本物の拳銃を向けられ、子分たちはみんなびびっていた」と元会長は大きくため息をついた。右翼団体といっても暴力団組織との関わりが強かったため、周囲からは暴力団と同じとみなされていた。「出身母体の組が抗争事件に巻き込まれた時は、うちの事務所にもヒットマンが乗り込んできた。子分たちは誰も守ってくれなかったがね」と会長はいう。