『わんにゃん観察バラエティ アニマリング』(TBS系)が、これまでにない動物バラエティとして注目を集めている。TBSは、かつては多くの番組が放送され、人気を呼んできた動物バラエティを復権することができるのか? コラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんが解説する。
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10日(月)19時から2時間特番『わんにゃん観察バラエティ アニマリング』(TBS系)が放送されます。
同特番は『ニンゲン観察バラエティ モニタリング』(TBS系)の姉妹番組として4月18日、5月23日に続く3度目の放送。「わんちゃん(犬)、にゃんちゃん(猫)を観察しながらかわいい瞬間を追求していく」というコンセプトであり、今回は「猫にテレビを見せたら夢中になる?ならない?」「もしもそっくりな双子が入れ替わったらワンちゃんは気づく?気づかない?」などの企画が予定されています。
これまでになかった切り口の動物バラエティだけに業界内で注目を集めはじめていますが、注目すべきは放送の頻度と曜日。1回目から2回目の間隔は35日間でしたが、2回目から3回目の間隔は18日間に半減。3か月連続放送に加えて、このスピードアップは期待度や評価の表れと言っていいでしょう。
しかも1回目と2回目は『モニタリング』が放送されている木曜20~21時台でしたが、3回目は月曜19~20時台の放送に変更。これまでは『モニタリング』の視聴者層に向けて「“犬猫版”も見てください」という手堅い形で放送していましたが、「これなら別の時間帯でもいけるかもしれない」という手応えを得てチャレンジするようなニュアンスが見て取れます。
このような『アニマリング』の3か月連続放送と月曜ゴールデンタイム進出にはどんな意味合いがあるのか。TBSと動物バラエティそのものをめぐる背景を交えて、今後の展開を占っていきます。
動物バラエティの名門・TBSと苦境
まずTBSが『アニマリング』に期待するところについて。もともとTBSは業界内でも、動物バラエティをけん引してきたテレビ局。
『わくわく動物ランド』(1983年~1992年)が9年、『どうぶつ奇想天外!』(1993年~2009年)が15年半、2010年代も『トコトン掘り下げ隊!生き物にサンキュー!!』(2014年~2018年)を4年半にわたって放送しました。
しかし、当時は動物バラエティに対する「この扱い方はおかしい」「虐待ではないか」などの苦情が頻発。他局の『天才!志村どうぶつ園』(日本テレビ系)なども含めて動物バラエティへの逆風が吹き、2020年代に入ってようやく復活させた『サンドウィッチマンのどうぶつ園飼育員さんプレゼン合戦ZOO-1グランプリ』(CBC制作、2022年~2023年)もわずか1年未満で終了してしまいました。
その間、TBSは2019年から特番『笑える!泣ける!動物スクープ100連発』を30回以上にわたって放送していますが、こちらは映像集がベースの低リスクコンテンツ。レギュラー放送に発展する可能性は低く、動物バラエティの名門・TBSとしては“なし”という苦しい状況が続いています。
とはいえ、民放の動物バラエティをめぐる状況は、今なお好転したとは言えない状態。現在放送中の『嗚呼!!みんなのどうぶつ園』(日本テレビ系)と『坂上どうぶつ王国』(フジテレビ系)は、その大半を保護犬・保護猫の企画が占めるなど、苦情を避けるような保守的な構成が続いています。
だからこそTBSにとって、ゴールデンタイムでの放送が11年を超える『モニタリング』のブランドと固定視聴者層を味方につけられる『アニマリング』という企画は魅力的。また、その目玉である「飼っている人が多い犬と猫のほっこり系ドッキリ」という切り口は、これまでありそうでなかったものであり、動物好きの心をくすぐるようなニュアンスが感じられます。
たとえば、ほっこり系ドッキリを仕掛けられた犬や猫がリアクションしてもしなくてもOKですし、予想通りでも予想外でもOK。“ウチの子”に置き換えて温かい目で見てもらうことが期待できます。