生産性向上が第一(イメージカット)
たくさんの人が「そうだ、そうだ!」と支持しているコメントには、ざっくり言うと次の3つの主張が込められています。
●その1「バリバリ働きたい女性ばかりではない。専業主婦になりたい女性もいる」
男性だって、どんな働き方を望むかは人それぞれ。このランキングがあぶり出しているのは、「バリバリ働きたい女性」が多くの不利益を被っている現状です。専業主婦になりたい女性がいることは、不平等な状態を続けていい理由にはなりません。そして、女性にとって窮屈な社会は、男性にとっても窮屈な社会です。
●その2「男女によって違いがあるのだから平等や公平を目指すのは無理がある」
男女に違いがあるのは当たり前です。それは埋められなくても、性別によって選択肢が狭まったり、正当な評価が受けられなかったりする状態の解消は、十分に目指せるはず。コメントをする人にせよ共感する人にせよ、もし男性が大半だとしたら、きっとせっかく履かせてもらっている下駄を取り上げられるのが怖いんですね。
●その3「日本は日本だ。欧米基準のランキングなんて気にする必要はない」
もちろん、日本には日本の文化があります。それにしたって118位というのは、欧米との文化や価値観の違いで説明が付く順位ではありません。そもそも日本は長年にわたって、政治でも経済でも日常生活でも、欧米を手本にし続けてきました。「ジェンダーの問題は話が別」というのは、ご都合主義にもほどがあると言えるでしょう。
大きな顔をしている自分が恥ずかしくなるから?
逆に、疑問を示す反応が多かったのは、たとえば「女性だと、仕事に加えて家事や育児、介護をこなして当たり前だと思われがち。家事や育児は好きじゃないとは言えない無言の圧力も強い。しかも、女性が仕事をすることに対して冷たい目を向ける人が多い中で働いている。お疲れ様です。118位にしかなれないのは当然です」(要約)といったコメント。ひじょうに納得できる内容で、どこに疑問を示したいのかよくわかりません。
全体を通して伝わってくるのは、男性の側の「自分の考えや現状を正当化したい」という強い気持ちと、118位というインパクトの強い順位に対する必死の「負け惜しみ」です。それこそ、いろいろある調査のひとつですから、もっと大らかに受け止めてもいいはず。しかし、そうではない人が多いところに、社会としての余裕のなさも感じます。
このランキングの結果を謙虚に受け止めて素直に反省してしまったら、男性がひいきされている社会で大きな顔をしている自分が恥ずかしくなるからでしょうか。誰しも自分のズルさを直視するのは容易ではありません。プライドの拠りどころが音を立てて崩れ落ちる恐怖心にも包まれそうです。