国内

生徒の個人情報流出 教育現場での「情報共有」はどうあるべきなのか

体育館に置き忘れた資料が、何者かによってネットに流出した(イメージ)

体育館に置き忘れた資料が、何者かによってネットに流出した(イメージ)

 個人情報の流出に関するニュースが続いている。最近、多いのは自治体や企業の業務情報があるサーバーが攻撃を受けた結果の個人情報流出だろうか。ところが、札幌市の中学校で起きた事件は、教員が体育館に資料を置き忘れ、回収する8日間までの間にSNSへ情報が流出した、というアナログ(紙)資料からの流出だった。このことをきっかけに、学校における生徒の情報管理について、多くの人から様々な意見が噴出している。ライターの宮添優氏が、批判があってもなお、生徒について詳しい情報共有が必要な理由について現役教員たちに聞いた。

 * * *
 札幌市の市立中学校で、生徒267人分の個人情報が記された内部資料を教員が置き忘れ、その後、資料がネット上に流出した。当初、市の教育委員会は「外部への流出はない」としていたが、置き忘れた資料は誰かによって撮影され、その後、あろうことか有名インフルエンサーが資料の一部をSNSに投稿したことで、騒動の火はかえって大きくなってしまった。

 流出した資料には「低学力」や「嫌われている」、さらには「親に問題がある」などセンシティブな内容も多く記されていた。そこから生徒の個人名を確認することはできなかったものの、当該する学校の生徒たちが見れば、それが誰の評価なのか、ある程度の察しはつくだろう。何より、中傷と捉えられても仕方ないような表現で生徒の評価がなされていたことにショックを受けた、という生徒も多いはずだ。また、家族構成や成績も記載されていたといい、生徒の間に不要な軋轢がもたらされかねないという懸念もあろう。

名札にも”個人情報が漏れる”と過敏な反応

 すでに、生徒について資料を作成することそのものが良くないという意見も飛び出しているが、千葉県在住の現役小学校教諭・藤田裕喜さん(仮名・30代)は、どこの公立学校でも、似たような形で生徒の情報を共有していると話す。

「私がいた学校では、申し送りとか、引き継ぎなどの名称で、生徒が中学に行く際、または進級する際に新しい担任の先生や学年主任に情報を共有していました。これは、形は違えど、どこの学校でも必ずやっているはずです」(藤田さん)

 当然、そうした資料は完全な「部外秘」であるため、学校によっては職員室から持ち出さない、紙に出力しないなど対策を練っているという。札幌市の事案については、言葉遣い、置き忘れを含めて「教員の自覚が足りなさすぎる」と藤田さんも指摘するが、類似事案がたびたび発生し、一部の保護者やマスコミからは「もう生徒の個人情報を扱うな」という、厳しい声をもらっている、と続ける。

関連記事

トピックス

高石あかりを撮り下ろし&インタビュー
『ばけばけ』ヒロイン・高石あかり・撮り下ろし&インタビュー 「2人がどう結ばれ、『うらめしい。けど、すばらしい日々』を歩いていくのか。最後まで見守っていただけたら嬉しいです!」
週刊ポスト
結婚を発表した趣里と母親の伊藤蘭
《趣里と三山凌輝の子供にも言及》「アカチャンホンポに行きました…」伊藤蘭がディナーショーで明かした母娘の現在「私たち夫婦もよりしっかり」
NEWSポストセブン
2021年に裁判資料として公開されたアンドルー王子、ヴァージニア・ジュフリー氏の写真(時事通信フォト)
《恐怖のマッサージルームと隠しカメラ》10代少女らが性的虐待にあった“悪魔の館”、寝室の天井に設置されていた小さなカメラ【エプスタイン事件】
NEWSポストセブン
2025年、第27回参議委員議員選挙で使用した日本維新の会のポスター(時事通信フォト)
《本当に許せません》維新議員の”国保逃れ”疑惑で「日本維新の会」に広がる怒りの声「身を切る改革って自分たちの身じゃなかったってこと」
NEWSポストセブン
防犯カメラが捉えた緊迫の一幕とは──
《浜松・ガールズバー店員2人刺殺》「『お父さん、すみません』と泣いて土下座して…」被害者・竹内朋香さんの夫が振り返る“両手ナイフ男”の凶行からの壮絶な半年間
NEWSポストセブン
寮内の暴力事案は裁判沙汰に
《広陵高校暴力問題》いまだ校長、前監督からの謝罪はなく被害生徒の父は「同じような事件の再発」を危惧 第三者委の調査はこれからで学校側は「個別の質問には対応しない」と回答
NEWSポストセブン
ドジャース・山本由伸投手(TikTokより)
《好みのタイプは年上モデル》ドジャース・山本由伸の多忙なオフに…Nikiとの関係は終了も現在も続く“友人関係”
NEWSポストセブン
齋藤元彦・兵庫県知事と、名誉毀損罪で起訴された「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志被告(時事通信フォト)
NHK党・立花孝志被告「相次ぐ刑事告訴」でもまだまだ“信奉者”がいるのはなぜ…? 「この世の闇を照らしてくれる」との声も
NEWSポストセブン
ライブ配信アプリ「ふわっち」のライバー・“最上あい”こと佐藤愛里さん(Xより)、高野健一容疑者の卒アル写真
《高田馬場・女性ライバー刺殺》「僕も殺されるんじゃないかと…」最上あいさんの元婚約者が死を乗り越え“山手線1周配信”…推し活で横行する「闇投げ銭」に警鐘
NEWSポストセブン
親子4人死亡の3日後、”5人目の遺体”が別のマンションで発見された
《中堅ゼネコン勤務の“27歳交際相手”は牛刀で刺殺》「赤い軽自動車で出かけていた」親子4人死亡事件の母親がみせていた“不可解な行動” 「長男と口元がそっくりの美人なお母さん」
NEWSポストセブン
トランプ大統領もエスプタイン元被告との過去に親交があった1人(民主党より)
《電マ、ナースセットなど用途不明のグッズの数々》数千枚の写真が公開…10代女性らが被害に遭った“悪魔の館”で発見された数々の物品【エプスタイン事件】
NEWSポストセブン
大谷翔平と真美子さん(時事通信フォト)
《ハワイで白黒ペアルック》「大谷翔平さんですか?」に真美子さんは“余裕の対応”…ファンが投稿した「ファミリーの仲睦まじい姿」
NEWSポストセブン