「あれだけの仕事を1人でしたのだから、組織の中ではどんな我が儘も通ったはず。でもいまの絆會は安い会費で運営されており、余剰財源を持っているわけではない。要求を断れず、耐えきれなくなった誰かがサツにたれ込むのはよくある話だ」(東京に本部を持つ六代目山口組直参組織幹部)
捜査関係者によると、金澤容疑者は事件に関して完全黙秘だが、存外、雑談には応じているらしい。完全否認とはいえ、これだけの状況証拠があると厳しい裁判だろう。同時に逮捕された4人が、金澤容疑者と同じように黙秘できるとも思えない。今はヒットマンを現場に運んだ運転手でさえ懲役20年になる。さらに逮捕者の詳細を見ていくと、警察の真意も透ける。
「警察の狙いは金澤の上にいる絆會の織田会長でしょう。織田会長狙いとしか思えない逮捕者がいる。織田会長の関与があったかどうかが焦点になる」(同前)
そもそも絆會は六代目山口組から攻撃されておらず、突如、六代目の中核組織である弘道会系の組長を殺害したのも不可解だ。バックに黒幕がいる可能性もある。事件の背景がはっきりすれば、六代目山口組は苛烈な報復を実行するかもしれない。
取材・文/鈴木智彦(フリーライター)
※週刊ポスト2024年6月28日・7月5日号