犯行グループが17才の少女の命を奪ったトラブルのきっかけは、「自分の画像を無断でSNSに使われたから」だという。人を殺める理由として、にわかには信じがたいが、何が彼らの機微に触れたのか。荒ぶる若者が北の大地で起こした凄惨な事件の全貌に迫る──。
花冷えの北海道で、ひとりの女子高生の命が奪われた。無辜の少女の人生を踏みにじった容疑者たちのスマートフォンには、生前の彼女を恐喝するやり取りのほかに、目を背けたくなるような痛々しい姿を映した“ある動画”が残されていた。
行方不明になっていた17才の女子高生・村山月(るな)さんの遺体が5月下旬に石狩川下流で発見された事件。6月12日、北海道警はすでに別の容疑で身柄を拘束されていた、北海道旭川市に住む内田梨瑚容疑者(21才)とA子容疑者(19才)を殺人容疑で再逮捕した。両容疑者は4月19日午前4時頃に、旭川の渓谷「神居古潭」にかかる神居大橋まで村山さんを連れていき、約10m下の石狩川に転落させ溺死させた疑いがもたれている。
村山さんは、亡くなるまで暮らしていた北海道の西岸の留萌市から、さらに北へ50kmほど行った羽幌町で生まれ育った。日本海に沈む美しい夕日と甘えびの漁獲高日本一で知られ、人口わずか6000人ほどの小さな自治体だ。過疎化が進む町では、子供の誕生それ自体が慶事なのだろう。17年前の町の広報誌には、村山さんの出生情報が記載されていた。
「村山さんのお父さんは元漁師で、稚内の方まで漁船に乗って漁に出ていました。家族はほかに、お母さんと3学年上のお兄さん。中学時代はバスケットボールに熱中する明るい性格の人気者でした」(村山家の知人)
だが、幸せな家族も両親の別居で生活環境が一変する。村山さんは高校からは羽幌町を離れ、母方の実家のある留萌市に転居することになった。
「市内唯一の高校に進学しましたが、1年ほどで辞めてしまった。高校に入ってからは、少し雰囲気が派手になって、夜出歩くことも増えていたようです。現在は、旭川市内の通信制高校に通っていたようですね。お母さん思いのいい子だったのに、あんな女とかかわりさえしなければと、かわいそうで仕方ありません」(前出・村山家の知人)
事件発生3日後の4月22日、村山さんの母が行方不明者届を出したことから捜査が始まった。
「防犯カメラやNシステムの解析ですぐに内田容疑者らの関与が浮上し、24日、道警は内田容疑者と16才の少年B容疑者を、村山さんに対する恐喝容疑で緊急逮捕。その後、A子容疑者のほか、16才の少女C子も村山さんの監禁にかかわっていたとして逮捕されました。内田容疑者とA子容疑者に関しては“不同意わいせつ容疑”でも再逮捕し、さらに殺人容疑での逮捕に至ったのです」(全国紙社会部記者)
4人の中で年長でリーダー格だった内田容疑者が犯行を主導したとみられている。経緯を前出の全国紙社会部記者が語る。
「トラブルの発端は、村山さんが内田容疑者らが写る写真を無断でSNSに投稿したことでした。C子がそれに気づき、内田容疑者に報告。怒った内田容疑者がSNSを通じて村山さんに金銭を要求し、10万円の電子マネーを送金させようとしたがうまくいかなかったため、4月18日の夜遅くに村山さんを留萌市内の道の駅に呼び出した。これが、お互いに初対面だったそうです」