巨人を取材する記者たちからは、「岡本の性格が影響しているのでは」との声が聞こえてくる。
「キャプテンという責任ある立場にいますが、岡本は穏やかな性格でマイペース。前任の主将である坂本勇人(35)のようにチームを引っ張るリーダーシップを発揮するわけではないし、気迫を前面に出すタイプでもない。グラウンドでも口を開けてボンヤリしているように見えるし、キャラクターで損をしている部分があるのではないか」(巨人番記者)
ただ、穏やかな性格は昔からのものであり、内に秘めた闘志を結果に結びつけてきたとする証言もある。岡本が中学時代に所属した橿原磯城リトルシニアで当時コーチを務めていた松本彰太氏(現監督)はこう振り返る。
「昔から緊張する場面でも、常に冷静でドンとしている感じ。数年に1回、地元に帰ってきた時に顔を出してくれますが、昔のままです。内に秘めている闘志をすごく感じます。だからこそ、順調に素質を伸ばし、長い年月で成績を残せる。岡本らしいです」
「代名詞の本塁打」がない
その成長の先に、真の大打者となる未来は開けてくるのか。前出・広澤氏は「記録もさることながら記憶に残る本塁打を打つことも重要」と語る。
「野球ファンの多くは、好きな選手の“あの時の本塁打”というのが記憶にあると思います。長嶋茂雄さんなら1959年の天覧試合、王貞治さんなら1971年の日本シリーズで山田久志さん(阪急)から打ったサヨナラ3ランなどが思い浮かびます。ですが、岡本はインパクトに残る一打が少なく、ファンも岡本の代名詞となる本塁打を決められないのではないでしょうか。敵側から見ても“やられた”というホームランが少ないように感じます」
そして何より大打者に必要なのは、ONや松井秀喜に代表されるようなチームを勝利へと導くバッティングだろう。広澤氏はこう言う。
「4番の最も重要な仕事はチームを優勝させること。巨人が3年も優勝から遠ざかり、2年連続でBクラスに甘んじていることも岡本の評価と無関係ではないと思います。今年の岡本は例年より印象的な本塁打が増えている。日本シリーズでドラマティックなアーチを放って巨人だけでなく野球ファン全体から支持される4番になってほしい」
まずは今季、チームを4年ぶりのリーグ制覇、12年ぶりの日本一に導かなくてはならない。
※週刊ポスト2024年6月28日・7月5日号